唯一の大気汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 12:05 UTC 版)
『四大公害』と言われた公害病の内では、四日市ぜんそく(喘息)だけが水質汚染ではなく唯一の大気汚染である。公害被害によって居住する事が困難となり、四日市の地域環境が悪化し、高度経済成長の経済発展の代償として公害が発生した。そのため、対策が施されることなく汚染物質がそのまま排出されていた。 水俣病・イタイイタイ病・新潟水俣病との違いは、100%特定企業による特定物質による公害と立証できなかった事である。これに関しては四日市コンビナートは複数の企業が関係し、自分の会社は無罪であり、他企業が原因であると主張できる余地があったためである。 四日市公害の教訓によって、戦後期に制定されていた法律の『ばい煙規制法』に代わる新しい法律の大気汚染防止法が制定された。四日市公害訴訟は、四大公害訴訟の1つに数えられる裁判として、津地方裁判所四日市支部に提訴されて、6年間の裁判の結果勝訴となった四日市公害判決の反響から、大気汚染の総量規制の実施・SO2の環境基準の改正の実施・公害健康被害補償法の制定・公害対策基本法の制定などの参考になったが、四日市公害裁判については、複数の問題点がある。 すなわち、大気汚染の発生源に対する共同責任で、どの企業が汚染物質を排出して、四日市コンビナートに進出していた複数の企業の共同不法行為を認定するか(共同不法行為の認定)の問題があった。加えて、大気汚染と喘息症状がある特異的でない、非特異的な閉塞性症状の肺疾患である四日市ぜんそくとの因果関係論の問題があった事である。公害患者の喘息症状を証明しても、大気汚染が四日市ぜんそくの原因と証明できるかの因果関係の問題も存在した。
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