行政行為の瑕疵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 23:18 UTC 版)
詳細は「行政行為#瑕疵ある行政行為」を参照 行政行為(行政処分)は法律に従って行わなければならない(法律の留保)。しかしその処分が有効に成立するためには、法律上不能でないこと、法令に違反していないこと(法律の優位)が前提である。その上で、権限のある行政機関による執行がなされなければならない。以上の要件のいずれかを欠くときは、その行政処分は違法な処分となり、これを「瑕疵ある行政処分」という。 瑕疵ある行政処分は、その瑕疵が重大明白でない限り、無効とはならない。これは、命令された国民が、違法であるからと考えて、それを無視できるとすれば、混乱を生じ、公益確保が困難になるからである。 さらに、行政庁の行為は公益を目的としているという前提があるために、適法性の推定が働く。よって、国民は違法であると考えながらも、権限のある機関(行政庁や裁判所)がその処分を取り消すまでは、その処分に従わなくてはならない。これを「行政処分の公定力」という。 以上のように、行政行為の瑕疵は、行政行為を無効とする瑕疵と、行政行為の取消原因となる瑕疵とに分かれる。それぞれ、行政訴訟において効力を争う場合の具体的方法が異なる。 行政行為の瑕疵は、違法性、合目的性を回復するため職権で取り消すことが出来、取り消すと遡及して最初から無かったことになる。しかし、裁断手続を経て発せられた行政行為は、不可変更力が発生しているので処分庁は、取り消すことが出来ない。 また、国民に権利利益を与える受益的行政行為や第三者に法的利益を与える複効的行政行為は、相手の既得権益や信頼を上回る特別の公益上の必要性がなければ、職権で取り消すことができない。
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