脂肪吸引による死亡その他のリスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:41 UTC 版)
「脂肪吸引」の記事における「脂肪吸引による死亡その他のリスク」の解説
死亡事故脂肪吸引は生命に対するリスクを伴う行為である。80年代には麻酔科医の管理下でないにも拘わらず全身麻酔下で止血剤を用いずに吸引を行なっていたため、麻酔事故と出血多量が死亡事故の主原因であった。チュメセント法の採用により、出血多量による事故は減少したが、局所麻酔(特にリドカイン)と止血剤(特にアドレナリン)の併用による死亡事故が生ずるようになる(過剰投与やアナフィラキシーショックによる呼吸不全や心不全)。またチュメセント法により吸引可能な脂肪の量が増えたため、脂肪塞栓などによる血栓症・呼吸不全による死亡事故を生ずるようになった。更に、その後に展開してきたカニューレの高機能化(PAL、ジェット水流、超音波)は却ってカニューレに因る腹膜損傷を容易にし、腹膜や腸などの損傷による感染症・多量出血などによる死亡事故をもたらすに到っている。 東京都豊島区の品川美容外科池袋院で2009年、脂肪吸引手術を受けた女性が死亡した事故。不適切なカニューレ操作により女性の腹壁と腸を損傷し、2日後に脱水症で死亡させたとされる。執刀医は業務上過失致死罪で起訴され、2012年8月に有罪判決が下された(禁錮1年6月、執行猶予3年)。なおこの事件に関連して、当時同外科顧問だった警視庁OBに捜査資料のコピーを手渡したとして、元同庁捜査1課警部が地方公務員法違反罪で起訴され、一、二審で懲役10月の実刑判決を言い渡されている(2012年11月21日上告棄却により確定)。 2017年12月、名古屋市中区の美容整形クリニックで脂肪吸引の手術を受けた同市中村区の20代女性が、手術後に自宅で死亡しているのが見つかった。愛知県警は執刀医らから任意で事情を聴くなどし、手術方法や術後の処置などと、死亡との因果関係について調べている。。 施術それ自体に因る一般的リスク感染症(処置に伴う熱傷、カニューレ挿入・脂肪組織の吸引に伴う内部組織の損傷による) 出血、また神経・皮膚・組織・臓器に対する損傷(同上、脂肪吸引手術による死亡事故の主原因) 脂肪塞栓症(吸引によって遊離した微小な脂肪塊が血栓として血管を詰まらせる) ショック症状とそれによる心停止・意識障害・痙攣・悪性高熱・組織壊死(麻酔薬・止血薬の過剰投与やアレルギーによる) 脂肪の吸引結果が美しくない(吸引部分自体が不揃い or デコボコの皮膚 etc.) 皮下脂肪の減少に因る一般的影響とリスク腹部脂肪除去後の乳房肥大(これは特に男性では問題になりうる)。 内臓脂肪・異所性脂肪の増大(肥満に伴う健康問題はこの両者によって惹き起こされる)。 その他脂肪吸引は、それによる体重減少や脂肪細胞数の減少に拘わらず、メタボリック症候群の改善をなんらもたらさないことが知られており、肥満による医学的問題の解決にはならない(その意義は純粋に美容目的に限られる)。 また、皮下脂肪細胞を除去することによって、余剰摂取カロリーが脂肪として蓄積される先が、脂肪細胞が除去されていない部位の皮下脂肪・内臓脂肪・異所性脂肪に転移することに伴う問題が生じうる。たとえば腹部を脂肪吸引した場合には、手足や臀部・内臓などに脂肪がつきやすくなるため、過剰な脂肪吸引はリスクを伴う。 過食症などの治療にはならない。見た目的に太りにくくなったために、かえって過食が進むリスクがある。
※この「脂肪吸引による死亡その他のリスク」の解説は、「脂肪吸引」の解説の一部です。
「脂肪吸引による死亡その他のリスク」を含む「脂肪吸引」の記事については、「脂肪吸引」の概要を参照ください。
- 脂肪吸引による死亡その他のリスクのページへのリンク