脂肪幹細胞の抽出技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/13 19:39 UTC 版)
「脂肪幹細胞移植」の記事における「脂肪幹細胞の抽出技術」の解説
脂肪吸引によって得られた回収物に対し、遠心処理を行うことで、回収物を吸引脂肪組織と吸引廃液に二分する。前者は破砕された脂肪組織であり、後者は生理食塩水、血液、組織屑等の混合液である。 この各々から脂肪由来幹細胞を含む細胞群を抽出する。臨床ではこの細胞群を培養せずに使用する。この抽出技術は、日本では特許第4217262号「脂肪組織から幹細胞を調製するための方法およびシステム」として特許が成立しているので参照されたい。 実際の臨床では、脂肪組織の「質」は個人差が大きく、組織屑の多寡、脂肪組織のオイル化の具合、粘度、採取できる脂肪の量等について、各個人まちまちである。従って脂肪から細胞を抽出する工程は機械化が困難で、熟練した技術者の手作業に負うところが大きい。 尤も、脂肪から幹細胞を抽出するこの工程を機械化する試みが世界の幾つかの企業で行われている。しかし回収される細胞の量・質の評価、医療の安全性・有効性の評価を受けて日本の医療機器として認定を受けた装置はまだ出現していない。従って現状では、脂肪幹細胞移植を実施する医療機関は院内にCPC(セル・プロセッシング・センター)と呼ばれる細胞処理室を設けて、細胞処理技術者が細胞の抽出を行っている。脂肪幹細胞移植の普及のためには医療機器として日本で認定を受けた装置の登場が期待される。
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