積極的分離に伴う精神的苦痛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:54 UTC 版)
「ギフテッド」の記事における「積極的分離に伴う精神的苦痛」の解説
ギフテッドにおける精神的発達は一連の明確な移行プロセスを伴う。一般社会においてでさえ、積極的分離と再融合を繰り返すギフテッドは自己や世界の概念が徐々に変化しながらも、少しずつ社会の矛盾を解きほぐし、問題を認識し、最終的に独創的なビジョンを経て、その解決や克服、実現を目指す。しかし、その過程で付き纏う緊張、不安、気分的うつ、恥、罪悪感を克服し、そこから成長を遂げるためには何らかの治療やサポートを必要とする場合が多い。ギフテッドはこの危機が起こっている期間は職場あるいは学校で生産的な働きができなくなり、対人関係においても問題が生じる。 ドンブロフスキは積極的分離に伴う気分的うつや精神的苦痛は個人がより高いレベルへ成長するために必要不可欠であり、その深い感情作用をもたらすものはOEであると結論づけている。現状に対する不適応、世界や人々に対して抱く強い不満を糧に積極的分離を起こすことは、ギフテッドが並みの人には到底届かないであろう自己を獲得するために必要な経験でもある。 積極的分離における五つの段階。 1.初期の統合 最初の発達段階は幼年期に起こる。「探求したい」「発見したい」「操作したい」「学びたい」といった願望が人格をより早く成熟させる。そして「なぜ人々はこのように振る舞うのか」「未来にはどんなことが待ち受けているのか」といったことに思いを巡らせ、また自分がいずれ死すべき運命にあることについてより強い実感を得る。この時ギフテッドの子どもたちは初めての危機を経験する。 2.自己と他人の分離 この段階では、ギフテッドの子供、あるいは青少年は仲間から受け入れられたいというニーズを抱く。しかし仲間との結びつきを得ることができず、最初の深刻な実存的危機が引き起こされる。 3.自発的な統合 積極的分離は、突然ありのままの自分自身やそれまでに自分が成し遂げてきた物事に対して満足できないと感じた時にも起こる。青少年時代にこの段階に到達し、自身の目標を再考したり、計画やアイディアの一部を放棄するようになる。自己との間に矛盾を感じるが、新たな解決策を見つけることでそれを克服する。 4.方向性のあるレベルで分離 ギフテッドの個人的発達の第四段階は、それまで自分が多くの時間を自分自身のことや自らのニーズにばかり費やしてきたことに気付いた時に起こる。他人に心を開き、もっと利他的になって社会全体の利益のために生きるべき時なのだろうと考え始める。この段階において、より高尚な、そしてより普遍的な価値観を取り入れていく。 5.第二次統合 最後の段階では、責任感、親切心、利他主義を持ち、その視線をより抽象的で高レベルな原理へと定着させる。他者を助けるために動き、労力や努力をそのために捧げる人もいる。自らの足跡をこの世に刻み込みたいと思うようになり、進歩を促進することに集中し始める。
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