短歌の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 04:48 UTC 版)
近代以降の短歌は自然に触れ、生活の場で、また社会の流れの中にあって、人間の心の在り様を表現したものであり、すべてが抒情であるとも言える。しかし、短歌の世界では対象の捉え方を、叙景歌(自然の風景等を詠んだ歌)、叙事歌(事実をありのままに述べた歌)、抒情歌(感情、感動を述べ表した歌)という分け方をしてきた。便宜上直接的に短歌の対象となった事柄を捉えて、何々詠という呼び方をしている。 代表的なものを次に掲げることにする。これら以外に何々詠と付けられた分類も見かける。また、今後、さまざまな呼び方がされる新たな分野が登場してくる可能性はある。 種類内容自然詠 山川草木、花鳥風月などの自然を主体に詠んだ歌 季節詠 春夏秋冬、すなわち四季を詠んだ歌。広くは自然詠に含まれる 動物詠 動物を詠んだ歌 植物詠 植物を詠んだ歌 愛国詠 国の末永い平和や繁栄を祈る歌 人事詠 人間社会の出来事、人間関係、または個人個人のことを詠んだ歌 生活詠 生活の実感を詠い人の在り方に迫ろうとする歌 官能詠 肉体的快感、特に性的感覚を通して得られる快さを詠んだ歌 職場詠・職業詠 職場や職業を詠んだ歌 境涯詠 自分の人生を振り返って詠んだ歌 病床詠 病床にあって詠んだ歌 家族詠 家族という集団を意識しながらその構成員を詠んだ歌 相聞歌 恋愛感情を詠んだ歌 挽歌・鎮魂歌 死者を弔い、死を悲しむ歌 旅行詠 旅行途上で接した風物に寄せて感慨を詠んだ歌 山岳詠 登山体験を詠んだ歌 海外詠 海外での長期滞在、居住、永住等の体験を詠んだ歌。戦前からの移民等の歌も含む 社会詠 人の生活する場である社会と社会に対する批判等を含む認識を詠んだ歌 時事詠 時事問題を詠んだ歌。社会詠の一種である 時局詠 現在の時局に題材を得た歌。広くは社会詠に含まれる 安保詠・学園闘争詠 60年安保闘争・1970年前後の学園紛争を詠んだ歌 震災詠 関東大震災や阪神・淡路大震災を詠んだ歌 戦争詠 戦争に直接参加した兵士たちが前線で詠んだ歌 戦時詠 戦時下の社会と人間を詠んだ歌。戦争詠とは異なる 農民詠 「農民文学運動」に端を発し、農村に関して詠んだ歌 思想詠 哲学、思想、主義、主張に基づき人間と社会を詠んだ歌 都市詠 人間社会の縮図である都市の社会状況、人間の在り方を詠んだ歌
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