灌頂道具類とは? わかりやすく解説

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灌頂道具類

主名称: 灌頂道具類
指定番号 2630
枝番 00
指定年月日 2005.06.09(平成17.06.09)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 工芸品
ト書
員数
時代区分 平安~室町時代
年代
検索年代
解説文: 高野山山内菩提寺院の中でも弘法大師空海に深い関わりをもつとされる竜光院に、一括箪笥納められ伝来した道具類で、同寺では空海が唐の地において、師の恵果より総称した灌頂道具類と伝えて、特別視されてきた。灌頂とは師が弟子に法や血脈伝授する儀式のことである。
 きぬがさ(一)表地の紅地錦いわゆる平安緯錦とも呼ばれ神護寺経帙など平安時代後期作風通じ(二)表地白地錦も、文様浮き織りした浮文錦で、国宝懸守大阪四天王寺)など平安時代後期作品類似例見られる文様表現や賦彩も温雅な趣をたたえており、当初より胎蔵界金剛界対応する一対として、平安時代後期から鎌倉時代前期製作されたと判断される遺例きわめて少な同時代染織品の中にあって甚だ貴重である。
 幡【がいばん】四旒二組は傘四隅垂下したもので、組紐や磬形金具形状線刻から同時期とみられ、傘付属品として製作されたと考えられる小品ながら細部凝った造作示し金属製円盤組紐綴って幡とする点も異色古例類を見ない
 竜頭は竿の先に装着し、傘懸垂するもので、形状彩色技法などに差が看取され、また製作年代(一)(二)にやや先行するが、平安時代後期から鎌倉時代前期様式示し木彫龍頭としていずれも古例属する。
 傘の軸は蓮華座形状漆箔の状態から、竜頭(二)同時期の作とみられる
 宝冠二頭金銀薄板透彫線刻打出などの金工技法駆使し、内には錦や綾の裂を用い火焔宝珠舎利容器瑠璃珠、冠繒、垂飾など、随所に贅を尽くした造りになる。躍動感のある宝相華文細緻金具類の形状優美な蓮弁形垂飾の賦彩や截金など、傘同時期、平安時代後期から鎌倉時代前期特色示している。それぞれに金剛界胎蔵界諸仏種子三昧耶形線刻彩色表されており、細工同工で、一対として製作されたものである。この種宝冠奈良国立博物館一頭鎌倉時代金剛界分)などがあるが、古い遺例きわめて稀であり、現存最古にして卓抜な意匠技術を示す逸品である。
 明鏡胎蔵界金剛界両部大日如来種子を示す一対の作である。片切彫ふうの幅広線刻から、鎌倉時代末から南北朝時代の作と判断されるが、両部一対で残る明鏡古例は他になく貴重である。また鏡箱の甲盛がわずかに嵩高くなり、室町時代の作とみられる
 瓶は胴部線刻される幡の三昧耶形から、もとは正覚壇に据えられる五瓶の一つであったとみられるが、大壇中央独立して据えられ可能性もある。大きくなだらかに張る胴部三昧耶形を表す点は珍しい。口径比して底径が小さく重厚な造り線刻から鎌倉時代後期の作と判断される
 塗香器および台皿は、法量蓮弁飾り形状から、もとは大壇上の六器一つであった思われるが、単独塗香器として使用され可能性が高い。小品ながら細かい造作で、瓶と同時期の作とみられる
 宝冠一対明鏡一対は、竜光院法脈である中院流灌頂儀式において、受者が伝授される秘密道具七種のうち二種にあたる。また傘一対や瓶、塗香器は、灌頂を行う道場荘厳する道具である。このように広く灌頂儀式全般に用いられる道具類がある時期にまとめられたものである
 灌頂道具まとまった古例としては現存最古一群である。加えて工芸史上にも特筆すべき稀少性優秀な技術示し密教工芸史上その存在意義きわめて大きい。
 なお附の諸品は中院流灌頂直接関連見出し難く時代製作地さまざまなため、ある時期にまとめられ、灌頂道具類とともに箪笥収納して伝えられたと想像されるが、各々時代地域の特色豊かに示して貴重である。
重要文化財のほかの用語一覧
工芸品:  漆絵大小拵  漆鉢  濃茶麻地菊棕櫚文様帷子  灌頂道具類  火取水取玉  灰釉四脚壺  灰釉壺



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