法令上の労使協定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 04:03 UTC 版)
太字は、所轄労働基準監督署長への届出が必要な労使協定である。届出は事業場単位で行うのが原則であるが、一の使用者の下に複数の事業所が存在し本社の人事部門で統一的な人事・労務管理をしているときには「本社と事業場の協定の主要な内容が同一であること」「届出をする部数の協定が提出されていること」を条件に本社での一括届出が認められている(平成15年2月15日基発0215002号)。 なお労使協定の効力発生要件は三六協定を除き「締結」であり、届出を怠ったとしてもそのことによる法違反としての刑事罰はあるものの、民事的には有効である。 労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合(労働基準法第18条) 賃金から法定控除以外のものを控除する場合(労働基準法第24条。いわゆるチェック・オフ協定など) 1ヶ月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2。就業規則に定めた場合には届出は不要)。 フレックスタイム制(労働基準法第32条の3。清算期間が1ヶ月を超えない場合は届出不要) 1年単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の4、第32条4の2、施行規則第12条の2、第12条の4、第12条の6) 1週間単位の非定型的変形労働時間制(労働基準法第32条の5) 休憩の一斉付与の例外(労働基準法第34条) 時間外労働・休日労働(労働基準法第36条、第133条、施行規則第69条。いわゆる三六協定。これのみ、所轄労働基準監督署長への届出が効力発生要件となる。) 割増賃金に代えて代替休暇を取得する場合(労働基準法第37条第3項) 事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法第38条の2。事業場外労働が法定労働時間内の場合は不要) 専門業務型裁量労働制(労働基準法第38条の3) 年次有給休暇の時間単位付与(労働基準法第39条第4項) 年次有給休暇の計画的付与(労働基準法第39条第6項) 年次有給休暇の賃金を健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1相当額で支払う場合(労働基準法第39条第9項) 退職金の保全措置について法定の措置に依らない場合(賃金の支払の確保等に関する法律第5条、施行規則第4条) 1歳6ヶ月に満たない子の育児休業の適用除外者(育児介護休業法第6条第1項ただし書き、平成12年労告120号) 要介護状態の対象家族の介護休業の適用除外者(育児介護休業法第12条第2項、平成12年労告120号) 小学校就学前の子の看護休暇の適用除外者(育児介護休業法第16条の3第2項、平成12年労告120号) 要介護状態の対象家族の介護休暇の適用除外者(育児介護休業法第16条の6第2項、平成12年労告120号) 3歳に満たない子の育児のための所定外労働の制限の適用除外者(育児介護休業法第16条の8第1項) 3歳に満たない子を養育する者に関する所定労働時間の短縮措置の適用除外者(育児介護休業法第23条第1項ただし書き) 雇用調整助成金の対象となる休業等、出向等の実施に関する事項(雇用保険法施行規則第102条の3) 廃止された労使協定 衛生委員会・安全衛生委員会に労働時間等設定改善委員会の代替をさせる場合(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条第2項) - 2019年(平成31年)4月の改正法施行により廃止された。なお経過措置により、旧法下で定めた決議については、2022年(令和4年)3月31日(2019年(平成31年)3月31日を含む期間を定めているものであって、その期間が2022年(令和4年)3月31日を超えないものについては、その期間の末日)までの間は、なおその効力を有する(働き方改革関連法附則第1条、第10条)。 65歳までの継続雇用制度の対象となる基準を定める場合(高年齢者雇用安定法第9条) - 2013年(平成25年)4月1日の改正法施行により継続雇用制度の対象者を労使協定によって限定することはできなくなった。なお2013年(平成25年)3月31日までに労使協定を定めた場合は、2025年(令和7年)3月31日まで経過措置として、対象年齢を順次切り上げ認められる。 雇用継続給付(高年齢雇用継続給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金)の支給申請手続を事業主が代理する場合(雇用保険法施行規則第101条の8、第101条の15、第102条) - 法改正により、2016年(平成28年)2月16日からは労使協定は不要となり、原則としてこれらの申請は事業主経由でしなければならないこととなった。
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