事業場外労働
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 12:38 UTC 版)
1988年(昭和63年)の改正法施行により新設された。制定当初は、外回りの営業職や海外旅行の添乗員等への適用を想定していた。 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として、所定労働時間労働したものとみなす(第38条の2第1項)。 ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす(第1項但書)。この場合において、当該業務に関し、労使協定があるときは、その協定で定める時間を当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする(第2項)。 労使協定には以下の事項を定めるとともに、使用者は、1の時間数が法定労働時間以下である場合を除き、当該協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届出なければならない(第3項、昭和63年1月1日基発1号)。 当該業務の遂行に通常必要とされる1日当たりの労働時間数 労使協定(労働協約である場合を除く)の有効期間 事業場外労働とともに内勤もした場合は、原則として内勤時間も含めて所定労働時間労働したものとみなされる。ただし事業場外労働が通常所定労働時間を超える必要がある場合は、内勤時間にその通常必要とされる時間を加えた時間労働したものとみなされる。労使協定がある場合は、内勤時間にその労使協定で定めた時間を加えた時間労働したものとみなされる。なお、労使協定に内勤時間も含めた労働時間を協定することはできない。 使用者の具体的な指揮監督が及び労働時間の算定が可能である場合は、みなし労働時間制は適用されない(昭和63年1月1日基発1号、最判平成26年1月24日)。具体的には以下の場合である。厳密に言えば、携帯電話等が広く普及した現在では、外回りで働く営業職やセールス職の労働者のほとんどはみなし制の適用対象とはならない。 事業場外労働のグループ内に労働時間の管理をする者がいる場合。 携帯電話等で随時使用者の指示を受けながら労働する場合。 訪問先と帰社時刻等当日の業務の具体的な指示を受けたのち指示通り業務に従事し事業場に戻る場合。 いわゆるテレワーク(在宅勤務)で次に掲げるいずれの要件をも満たす形態で行われるものについては、原則として、事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される(平成20年7月28日基発第0728001号)。 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
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