法律上のノルマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 13:42 UTC 版)
労働契約を結ぶことによって課される労働者の義務は「労働に従事すること」(民法 第623条)と、労働力の提供だけに限定されており、「結果を出すこと」は義務ではない。結果を出す義務は組織の経営戦略を決定し労働者を取り仕切る取締役、管理監督者などにある。 ノルマ未達成でペナルティを課すことについて、賃金が減額される場合労働基準法第16条違反の違法行為であり。ペナルティが設定された契約条項は無効となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる(労働基準法 第119条第1号)。『みせしめ』としての側面が強いなど合理性のある措置とは言えず、その程度がひどければ違法性を帯びて慰謝料の支払義務が発生する余地もありえる民法の不法行為。違法な営業活動や自爆営業を暗に示すなど、場合によっては強要罪(刑法 第223条)に該当する。 勤務中に立ち寄った場所で営業活動するに当たっても特定商取引に関する法律が適用される。業務上知り得た個人情報を利用目的以外の営業などに転用する行為は個人情報の保護に関する法律に違反する。 会社に指定された勤務時間外に営業活動を行う場合であっても、営業ノルマがきつい場合などで所定労働時間を超えて労働することが通常必要な場合は労働基準法に定められた勤務時間やみなし労働時間制#事業場外労働(労働基準法 38条)に該当する場合もある。 東芝では「チャレンジ」と称した、過大なノルマによる経営戦略を据えたことが、粉飾決算の原因となり、東芝の株主から株主代表訴訟を起こされる事態となった。 また、日本郵政グループにおいては、以下の2点において「苛烈なノルマ」が問題となった。 旧郵政公社時代から続いているとされる記念切手やカタログ商品などの「自爆営業」、「年賀はがきの販売個人ノルマ達成の為に自分で使用する分以上を購入し余剰分を遠方の金券ショップで売却」という行為が横行し管理者もその行為を強要していた。年賀はがきの自爆営業や金券ショップ売却が問題になった2013年から日本郵便では管理者や上司による強要や金券ショップの転売を禁止し、2018年からはさらに社員の年賀状の個人販売目標を廃止するようにはなっている。 2019年にかんぽ生命保険とその個人チャネルである日本郵便の高齢者を狙った不正な契約の付け替え行為。またゆうちょ銀行や同様に日本郵便でもリスクの高い投資信託を貯金と錯覚させるような不正な営業行為を行なっていたことも判明。いずれも社員や部署でノルマ達成のために違法な契約や営業行為に走らざるを得なくなったという。
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