法律上のトラブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 03:47 UTC 版)
AMDと異なり、サイリックスはライセンス交渉の下、インテルのデザインを製造販売することは無かった。サイリックスの設計は、社内のリバースエンジニアリングによる詳細な解析結果に基づいたものであった。そのため、AMD386と486はインテルの作成した、機械語のソフトが動作したが、サイリックスの設計したものでは完全に動作しない場合もあった。潜在的な競争相手を取り除くために、インテルはサイリックスに対して何年も法的な争いを仕掛けた。その内容はサイリックスの486がインテルの特許を侵害しているというものである(インテルは他社との間のx86系CPUにかかるセカンドソース契約を1998年までに終了した)。 全般的に訴訟はインテルの敗訴で終わった。しかし、最終的な決着は法廷の外で行われた。インテルは、サイリックスが独自に開発したx86系CPUを、インテルのライセンスを既に所有しているどのファウンダリーでも製造することができる権利に同意した。両者ともこれにより以下のものを得た。サイリックスは、自分たちのCPUをテキサス・インスルメンツや、SGSトムソン、IBM(この時、この3社ともインテルとのクロスライセンスを所有していた)で製造を続けることができたし、インテルは潜在的な金銭的損失を避けた。 続く1997年の訴訟ではインテルがサイリックスの互換チップは自社特許を侵害していると訴えるのに対し、サイリックスはPentium ProとPentium IIが自社の特許―特に、パワー・マネージメントとレジスタ・リネーミング技術―を侵害していると訴えた。この状況は長引くと予想されていたが、結局法廷外で決着した。実際、クロスライセンスによって、非常に簡単に決着した。これにより、インテルとサイリックスはお互いの特許を自由に使用することができた。この中ではPentium Proがサイリックスの特許を侵害しているかどうかについては言及しなかった。単に、インテルにそれらのCPUを続けて使用できる様に許可しただけだった。―正確には、その前の決着のように、サイリックスの486がインテルの特許を侵しているというインテルのクレームを避けただけだった。
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