衛生委員会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/18 05:43 UTC 版)
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生委員会を設けなければならない(施行令第9条)。 衛生委員会は、以下の事項を調査審議し、事業者に対し意見を述べるものとする(第18条1項)。 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること その他、労働者の健康障害防止及び健康の保持増進に関する重要事項(規則第22条)衛生に関する規程の作成 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るもの 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成・実施・評価・改善 衛生教育の実施計画の作成 新規化学物質等の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立 健康診断等の結果並びにその結果に対する対策の樹立 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成平成29年6月施行の、産業医の巡視頻度を「少なくとも二月に1回」に変更するための調査審議を含む(平成29年3月31日基発0331第68号)。 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立これには、平成27年12月から施行のストレスチェック制度に関する事項を含む。 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官、労働衛生専門官から文書により命令・指示・勧告・指導を受けた事項のうち労働者の健康障害の防止に関すること昭和63年の改正法施行により、事業者は労働者の健康の保持増進のための措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならないこととされたが、当該措置が事業場において効果的に行われるためには、労働者の意見が反映されるとともに、関係者による継続的な審議の場を通じての継続的かつ計画的な取組みが必要である。そこで、衛生委員会の調査審議事項に、労働者の健康の保持増進に関することを加えることとしたこと(昭和63年9月16日発基84号)。 衛生委員会の委員は、以下の者をもって構成される。衛生委員会の議長は1.の者がなる(第18条2項~4項)。 総括安全衛生管理者、又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するものもしくはそれに準ずる者のうちから事業者が指名したもの(1名) 衛生管理者のうちから事業者が指名した者 産業医のうちから事業者が指名した者 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有する者のうちから事業者が指名した者 当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士である者を指名することができる 派遣労働者を受け入れている場合、衛生委員会の設置義務は派遣元・派遣先事業者ともに課せられる(労働者派遣法第45条)。 なお、平成31年4月の改正法施行により、労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第6条・第7条)が設置されていない事業場において、一定の要件を満たす衛生委員会(安全衛生委員会も同様であるが、安全委員会にはこの権限は認められていない)に、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを労使協定に定めたときは、当該衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなして、労使協定に代わる決議を行わせることができる、とする旨の規定は、労働時間等の設定の改善を図るための措置についての調査審議機会をより適切に確保する観点から、廃止された(平成30年9月7日基発0907第12号、雇均発0907第2号)。なお経過措置により、旧法下で定めた決議については、令和4年3月31日(平成31年3月31日を含む期間を定めているものであって、その期間が令和4年3月31日を超えないものについては、その期間の末日)までの間は、なおその効力を有する(働き方改革関連法附則第1条、第10条)。
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