氏の取得と変動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 15:22 UTC 版)
氏の取得を生来取得あるいは原始取得という。嫡出子は父母の氏を称し(民法790条第1項本文、親子同氏の原則、子の出生前に父母が離婚したときは離婚の際における父母の氏を称する(民法790条第1項但書)。非嫡出子は母の氏を称し(民法790条第2項)、胎児中に父の認知があったときでも母の氏を称することになる。ただ、民法は子が父又は母と氏を異にする場合について、791条の規定に従って、その父又は母の氏を称することができることとしている。戸籍法は発見された棄児については市町村長が氏名をつけることとしている(戸籍法第57条第2項)。 現行法上、氏は婚姻や養子縁組によって変動する。
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氏の取得と変動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:25 UTC 版)
現在、日本では氏の取得と変動は民法の規定によって定まる。夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(民法750条)。嫡出である子は父母の氏を称し、嫡出でない子は母の氏を称する(民法790条)。また、養子は養親の氏を称する(民法810条)。 この法では、夫婦の「氏」は夫婦が互いの氏から自由に選べる。しかし慣習的に多くの夫婦は、夫の氏を選択している(2005年度(平成17年度)の1年間に婚姻した夫婦を対象とする調査によれば、全体の96.3%の夫婦が夫の氏を選択した)。これは1948年(昭和23年)の改正前民法(家族法)に見られるように、婚姻を妻が夫の「家」に入ると考える(家制度)と、全ての「家」の構成員が、夫を筆頭とする「家の氏」にまとめられるという、男系家制度の慣習を反映している。婚姻又は養子縁組によって氏が変更があると、もとの氏を「旧姓」という。 なお、夫婦同氏制(夫婦同姓)については、1996年(平成8年)に法制審議会が出した「民法改正案要綱」で、選択的夫婦別氏制度(夫婦別姓)が定められたことをきっかけに、その賛否が論じられている。尚、アジアの多くの国、韓国、中国、インドでは、夫婦別姓であり、日本も明治31年以前は夫婦別姓であった。夫婦同氏のみを原則とする国家は以前はタイ、ドイツ等あったが、現在では、日本以外の国家はすべて夫婦別姓制度を採用しており、夫婦同氏のみを原則とする国家は日本のみとなっている。 元来、西欧の大方の国家では夫婦別姓である。もっとも、婚姻後は配偶者の姓を通称(仏:nom d'usage)として名乗ることが慣例であった。現代のフランスでも、配偶者の姓(あるいは自分の姓と相手の姓をハイフンで合わせた複合姓)をnom d'usageとして称することができる。反対に、夫婦同姓の日本では、職業やその他の理由によって、夫婦の片方が旧姓を通称として名乗り続けることがある。 つまり、その諸外国では、通称においては姓の選択があるものの、本名においては夫婦同姓の選択は与えられていない。日本と諸外国の違いは、選択の有無ではなく、家族の姓の統一を重視して夫婦と子を同姓にするかそれとも出生から死亡までの個人の姓の不変性を重視するかなど、あくまで本名の姓に関する考え方の違いである。これは、異なる文化・歴史的背景が国民の身分の在り方に影響しているといえる。 一方で、日本では通称としての旧姓に関して、旧姓使用の可否に関する明確な規範がまだないという課題が残っている。もっとも、およそ令和期に入ってからは旧姓を身分証(運転免許証、個人番号カード、パスポートなど)に併記することが可能になったことから、旧姓が通用しない日常的場面がすでに減ってきている。
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