正七角形とは? わかりやすく解説

七角形

(正七角形 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/02 03:43 UTC 版)

正七角形
正方形に収めることができる最も大きな正七角形

七角形(しちかくけい、しちかっけい、ななかくけい、ななかっけい、英語: heptagon, septagon)とは、7個の頂点と7本のにより構成される多角形の総称である。通常の(単純な)七角形の内角の総和は5πラジアン(900度)。凸七角形の対角線の数は14本。

正七角形

正七角形(せい - 、: regular heptagon)とは、各辺の長さが等しく、全ての内角の大きさも等しい七角形を指す。その一つの内角は5π/7ラジアン(128と4/7)で、一つの外角と中心角はどちらも2π/7ラジアン(51と3/7度)である。一辺の長さをaとすると周長は7aであり、面積Aは以下のように表される。

正七角形の辺と対角線

正七角形には、全部で14本の対角線を引くことができるが、対角線の長さは2種類しかない。すなわち、2つ隣の頂点を結ぶ短い対角線bと、3つ隣の頂点を結ぶ長い対角線cである。7本の対角線bからなる図形と、7本の対角線cからなる図形は、どちらも七芒星と呼ばれるが、日本では前者の意匠は特に茅の輪(ちのわ)と呼ばれることがある。[要出典]

上記の3つの長さは

円と放物線を、交点が正七角形をなすように配置する例(2017年、松田康雄[4])。ルール次第ではこれを利用して正七角形を作図することもできる。

古くは紀元前にアルキメデス(前287 - 前212)がその著書『円に含まれる七角形について』(英題: On the Heptagon in the Circle)において円錐曲線の交わりを使って[要検証]正七角形を作図していたとみられるが、この本は現存しない。サービト・イブン・クッラ(826 - 901)などのイスラムの数学者が、アルキメデスの本に言及して、正七角形を作図しているという[3]

定規とコンパスに加えて任意の角の三等分ができる道具(角の三等分器、angle trisector)を用いるとき、正七角形は作図できる。それは次の式が根拠となっている。

ネウシス作図の例。

その他、より汎用的なヒッピアスの円積曲線英語版を利用することや、角の七等分器を製作することによっても理論上は正確に作図できる。

近似的作図

近似的作図の例。赤い線分を、緑の線分の代用とする。

正七角形に非常に近い七角形を作図する方法がいくつか考案されている。これらはしばしば誤差があることを伏せて紹介される。

その他の事物

2011年現在、イギリスでは正七角形をした2種類(50ペンス英語版20ペンス英語版)の硬貨が流通している。ただし、これらの硬貨の辺は曲線的であり、厳密には七角形ではなく、ルーローの七角形である。また、ユーロ貨幣の20セント硬貨は円形であるが、正七角形の頂点に当たる部分に7つの溝を持つ。

2011年12月タイで国王ラーマ9世の誕生日を祝い、世界初の七角形の切手が発売された[5]

脚注

  1. ^ Weisstein, Eric W. "Trigonometry Angles--Pi/7". mathworld.wolfram.com (英語).
  2. ^ このことを、内角あるいは中心角が整数度にならないことと結び付けるのは、初学者にありがちな誤解である。
  3. ^ a b デイヴィッド・A.コックス 著、梶原健 訳『ガロワ理論』 下、日本評論社、2008-2010。ISBN 978-4-535-78455-0 「第10章 作図」
  4. ^ 数学セミナー』2017年7月号, pp.36-37. ただしこの記事が史上初であるかは不明。
  5. ^ タイで七角形の切手発売(バンコク経済新聞)

関連項目

外部リンク


正七角形

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七角形」の記事における「正七角形」の解説

正七角形(せい - 、英: regular heptagon)とは、各辺の長さ等しく全ての内角大きさ等し七角形を指す。その一つ内角は5π/7ラジアン128と4/7度)で、一つ外角および中心角は2π/7ラジアン51と3/7度)である。一辺長さをaとすると周長7aであり、面積Aは以下のように表されるA = 7 4 a 2 cot ⁡ π 7 , {\displaystyle A={\frac {7}{4}}a^{2}\cot {\frac {\pi }{7}},} A = 7 4 a 2 tan ⁡ 5 π 14 , {\displaystyle A={\frac {7}{4}}a^{2}\tan {\frac {5\pi }{14}},} A = 7 12 a 2 ( 7 + 4 cos ⁡ ( arctan3 3 3 ) ) , {\displaystyle A={\frac {7}{12}}a^{2}\left({\sqrt {7}}+4\cos \left({\frac {\arctan {3{\sqrt {3}}}}{3}}\right)\right),} A ≃ 3.63391 a 2 . {\displaystyle A\simeq 3.63391a^{2}.} A = a 2 4 7 3 ( 35 + 2 14 2 ( 13 − 3 − 3 ) 3 + 2 14 2 ( 13 + 3 − 3 ) 3 ) {\displaystyle A={\frac {a^{2}}{4}}{\sqrt {{\frac {7}{3}}(35+2{\sqrt[{3}]{14^{2}(13-3{\sqrt {-3}})}}+2{\sqrt[{3}]{14^{2}(13+3{\sqrt {-3}})}})}}} ただしarctan関数の値域は ( − π 2 , + π 2 ) {\displaystyle \left(-{\frac {\pi }{2}},+{\frac {\pi }{2}}\right)} にとる。 中心から頂点までの距離は、外接円の半径Rに等しく R = 1 2 a 1 sin ⁡ π 7 {\displaystyle R={\frac {1}{2}}a{\frac {1}{\sin {\frac {\pi }{7}}}}} である。中心から辺までの最短距離は、内接円半径rに等しく r = 1 2 a cot ⁡ π 7 {\displaystyle r={\frac {1}{2}}a\cot {\frac {\pi }{7}}} である。 正七角形には、全部14本の対角線を引くことができるが、対角線の長さ2種類しかない。すなわち、2つ隣の頂点を結ぶ短い対角線bと、3つ隣の頂点を結ぶ長い対角線cである。7本の対角線bからなる図形と、7本の対角線cからなる図形は、どちらも七芒星呼ばれるが、日本では前者意匠は特に茅の輪(ちのわ)と呼ばれることがある。[要出典] 上記3つの長さについて成り立つ等式 a = 2 R sin ⁡ π 7 ,   b = 2 R sin ⁡ 2 π 7 ,   c = 2 R sin ⁡ 3 π 7 , {\displaystyle a=2R\sin {\frac {\pi }{7}},~b=2R\sin {\frac {2\pi }{7}},~c=2R\sin {\frac {3\pi }{7}},} 1 a = 1 b + 1 c {\displaystyle {\frac {1}{a}}={\frac {1}{b}}+{\frac {1}{c}}} が知られている。これに関連して次も成り立つ。 1 sin ⁡ π 7 = 1 sin ⁡ 2 π 7 + 1 sin ⁡ 3 π 7 {\displaystyle {\frac {1}{\sin {\frac {\pi }{7}}}}={\frac {1}{\sin {\frac {2\pi }{7}}}}+{\frac {1}{\sin {\frac {3\pi }{7}}}}}

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