梅謙次郎の断行論とは? わかりやすく解説

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梅謙次郎の断行論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)

民法典論争」の記事における「梅謙次郎の断行論」の解説

当時、旧民商法に修正すべき点が無いと考え断行論者富井によれば少数派木下によれば絶無であった断行論も、法典成立が長引くことを避け、不完全でも施行し欠点は後から修正すべきという拙速論であり、彼が旧民法全面的な"賛成派"だというのは事実誤認である。 私は欧羅巴に居る時から我邦の法典草案を見、又発布になってから後は其明文見て随分不完全の法典であると…は云ひましたが…不完全の所は跡から直すことが出来る。種のないことは出来ぬから何でも種を一つ拵へ置かないといけない…私の法典に対して攻撃を致すのは自分の違ふと思ふ所は学者として充分論じなければならぬ。依て随分法典悪口を云ふたのである。夫(それ)で私は法典延期論者である杯(など)と云ふ人がありました。 — 梅謙次郎法典ニ関スル述懐1893年明治26年債権担保編に「任意不可分」と題して掲げたる第86条より第91条に至る6ヵ条の法文は…全く徒文に属するものにして、且つ規定する往々条理反し動もすれば前後矛盾自家撞着余は之を抹殺付して可なり思ふ未成年者抵当許して譲渡を許さざることの理なし異日民法改正するに当りては其財産編第550条第2項一抹付し去らんことを欲するなり。 — 梅謙次郎1891年明治24年当時法典が完全とは思はざりしも、当時法律家中に大に学派分れ英独仏各派加へて、又守旧派などもあり、もし一度之を延期すれば、更に法典施行を見るは難からんかと思はれたりしかるに当時時勢は、吾人宿望たる条約改正将(まさ)に行はれんとし、而して法典之は行はれず。又内国にても、裁判為すに当り成文極少極悪にして、且つ慣習不明にて、旧民法と雖も、此状態に比すれば勝れり。即ち無きには勝ると考へて、速に実行せんことを主張せしなり。 — 梅謙次郎東大民法講義1907年明治40年) もっとも、実際に法典以前単行法が「極少極悪にして、且つ慣習不明」だったかは異論もあり、膨大な単行法民事法の全領域存在していたとの主張もあるが、明治初期民事立法は驚くほど少なかったとの主張もある。法規の無い場合でも、前述裁判事務心得に基づく条理従った裁判機能していたから、決し無法状態の暗黒時代ではなかった。 しかし、裁判官学んだ外国法によって「条理」の判断異にする場合があったため、一応の裁判統一基準早急に必要であり、国策たる条約改正にも資するというのが梅の主であった。 なお「家長権封建遺物」というのが断行派の主張だったとする理解もあるが、官僚清浦奎吾議会で「個人主義」を唱え立憲改進党加藤政之助慶應卒)が旧民法進歩性賞賛したのが目を引く程度で(後述)、仏法派の論争時の主張旧民法旧慣反しないという弁明過ぎず積極的に人権論や個人主義説くわけではなかったとも指摘されている(福島)。 学理新古を以て遽(にわか)に法典良否決す可からず…欧州に於て古へは皆な家族制度行はれて殊に羅馬古法如きは尤も家族重んじたりしが是れ今日は既に陳腐に属し漸次変遷して個人制度之に代はるに至れり。我邦に於ては封建余習承け家族制度仍ほ確立する故に羅馬旧主義却て我邦の今日適合するもの多し。…近来欧州一二に於て新に唱ふる所の主義学説我邦の今日適せずして却て論者所謂旧主義旧学説こそ実際需要応ずること少なからざるを保せざるなり。 — 梅謙次郎法典実施意見1891年明治25年

※この「梅謙次郎の断行論」の解説は、「民法典論争」の解説の一部です。
「梅謙次郎の断行論」を含む「民法典論争」の記事については、「民法典論争」の概要を参照ください。

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