栄養学の観点から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 06:39 UTC 版)
現代の栄養学では栄養の働きを大まかに三つに分けて考えている、(1)エネルギーになる、(2)身体をつくる、(3)身体の調子を調える、である。 (1)の「エネルギーになる」の役割を果たしている栄養素の中でも重要なものが三大栄養素と呼ばれるものである。 人間などの生物にとって三大栄養素とは炭水化物、たんぱく質、脂質である(炭水化物は糖質とも呼ぶ)。三大栄養素のうち、炭水化物を除いたタンパク質と脂質は(2)の「身体をつくる」の役割も果たしている。 五大栄養素と言うと、左記三大栄養素にミネラルとビタミンが加わる。ビタミンとミネラルの主な働きは、(3)の「身体の調子を調える」ことである。忘れてならないが、水も必須の物質である。水は人の体重の60-70%を占める身体の主要成分であり、栄養素を運搬する体液にも水は含まれている。他にも人は食物繊維、酵素、フィトケミカル等々の要素も健康のために実際上必要としている。五大栄養素に水も加えて六大栄養素と表現することもあり、水の代わりに食物繊維を加えて六大栄養素と表現することもある。 エネルギー性の栄養素(脂質や炭水化物=糖質)を摂り過ぎると肥満につながり、生活習慣病を引き起こす可能性が高くなる。反対に栄養素の摂取が少なすぎると、やせすぎたり、体力が減退したり、集中力を失ったりする。栄養素全般が足りない、あるいは摂取する栄養素に偏りがある状態を栄養失調という。 つまり健康のためには、ほどよい量の栄養素を摂取することが大切になる。1日あたりに必要となるエネルギー量は体格や運動量によってひとりひとり異なっている。必要エネルギーは基礎代謝量と身体活動レベルを用いて概算することができる。身体活動レベルは下の表の右側の「生活パターン」を見て自分の生活がどれに属するか判断し、左から2番目の「身体活動レベル」の数値を読み取る。 身体活動レベル活動レベル 身体活動レベル 生活パターン 低い 1.5 生活の大部分で座っており(=座位)、(デスクワークなど)静的な活動が中心の場合 普通 1.75 座位中心の生活だが、仕事で立ったりすることもあり、あるいは通勤、買い物、家事、軽いスポーツをすることが含まれる場合 高い 2.0 仕事で移動することや立っていることが多い場合。あるいは日常的にスポーツや活発な活動を行う習慣がある場合。 計算式は以下のようになる。 一日のエネルギー必要量(kcal) = 一日の基礎代謝量(kcal) × 身体活動レベル 例えば年齢が30代で、通勤してデスクワーク中心の仕事をしている人(=身体活動レベルが普通、つまり数値が1.75)の人ならば一日のエネルギー必要量は 基礎代謝量が1,520kcalの男性では 1,520(kcal) x 1.75 = 2660(kcal) 基礎代謝量が1,140kcalの女性では 1,140(kcal) x 1.75 = 1995(kcal) となる。 おおまかに言えば、この数値を超えてカロリーを摂取すると太ってゆく、と判断できる。 健康への近道は栄養素をグループ(食品群)に分け、それぞれの食品群からバランスよく食品を選び食事(献立、メニュー)に入れることである。このバランスの目安になるよう厚生労働省と農林水産省が2006年に「食事バランスガイド」を策定している。 「栄養学」も参照 「栄養素 (栄養学)」も参照
※この「栄養学の観点から」の解説は、「栄養」の解説の一部です。
「栄養学の観点から」を含む「栄養」の記事については、「栄養」の概要を参照ください。
- 栄養学の観点からのページへのリンク