有料チャンネル等の不正視聴の横行と摘発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:33 UTC 版)
「B-CAS」の記事における「有料チャンネル等の不正視聴の横行と摘発」の解説
2012年5月19日に、B-CASのデータを書き換え、放送事業者に料金を支払わずに有料番組を視聴できる方法が、インターネットで出回っていることが分かった。総務省が「コンテンツ保護の観点から由々しき事態。B-CASシステムの改廃につながりかねない問題」として調査に乗り出した」と報道された。同記事では、「不正B-CASカードは、海賊版カードが数か月前から出回っていた。今回、インターネット上で出回った方法は、パソコンを用いて正規のB-CASカードを書き換える方法」としている。 衛星放送のスカパーJSATとWOWOWも、不正利用に対し、損害賠償を含めた法的措置をとるとの見解を発表している。 2012年6月には、不正なB-CASカードを販売した43歳の男性が、不正競争防止法違反で逮捕され、同年10月に有罪判決が言い渡された。 さらに2013年7月には、さいたま市在住の会社員らが有料放送の視聴料を支払わないで見られるように細工した、不正B-CASカードを放送局などに無断で制作・販売した疑いで逮捕された事例がある。この会社員らは不正B-CASカード6000枚を売りさばき1億3000万円以上の稼ぎを得たといわれている。 2014年8月には、台湾で、日本向けのインターネット通販を利用して、有料放送局に無断で不正B-CASを売ることを目的に、B-CASのデータを無料で見られるように書き換えたとして、現地の30-40代の2人が摘発された。彼らが作成・販売した不正カードは、スカパー!やWOWOW、ケーブルテレビでの正規視聴契約ならば、月総額で5万円程度かかるところを、2038年まで無料で見られるように不法改造され、1枚1万円程度で通販され、摘発の際に約11,000枚が押収された。 このサイトによると、2012年ごろからこの不正B-CASカードを製造・発売しており、「衛星のセーフティネット(地デジ難視聴対策による衛星放送での在京キー局の再配信)を含めたBS・CSのチャンネルを放送事業者に加入手続きをすることなく半永久的に視聴できる」と謳っていた。更に「このカードは自己完結タイプであり、一旦ICチップに使用許可が書き込まれると、外部からのコマンドを受けて、勝手に変更することができません。放送事業者がカードのナンバーを知らなければ、カードの無効化(視聴許諾取消し)はできません。言い換えると、どの機器に使われても、放送事業者に把握されることは不可能です」とする説明が書かれていた。またミニB-CASに対応するため、抜き取りができるようになっていた。 更にこのサイトは「(不正B-CASの販売会社)はB-CAS株式会社に買収されました。 (不正B-CASカード)のご注文方法について、「商品のご購入」のページをご覧ください。(注文書の送り先としてB-CAS社の本社住所が記載されている)」、「偽物サイトにご注意ください。偽物サイトと買うと、詐欺に遭うおそれがありますので、くれぐれもご注意ください。」などとした注釈をサイトに掲載していた。もちろんこれはB-CASを管理するビーエス・コンディショナルアクセスシステムズとは全く関係がないため、B-CAS社は「当社に買収されたという掲載がありますが、そのような事実は一切ありません」、「"有料放送を無料で見られる"などという安易な気持ちで不正カードを購入・使用すると刑事罰の対象になりますので、絶対に使用はもちろん購入しないようにしてください」と警告を掲載した。 この事件を受けて、B-CAS社、スカパーJSAT、スターチャンネル、WOWOWの有料衛星放送事業者3社の合計4社から、東京税関に対して申し立てていたこの偽B-CASカード「BLACK CAS」と「不正B-CAS」の輸入差し止めの申し立てが受理され、今後は日本国内の全税関で、輸入した場合の没収などの取り締まりの規制対象に追加された。これは「不正競争防止法第2条・第1項・第11号」に規定される技術的制限手段を回避する知的財産侵害品とみなされる。この知的財産侵害品と扱われたものは、「関税法第69条の11 輸入してはならない貨物」の扱いとされ、輸入した場合は税関に押収される。 こうした事件に便乗して、BLACK CASカードの類似品をスパムメールなどを送って売りつけた上で、購入する旨のメールなどを送ると今度は警察になりすまして「示談金」などの振込を要求する架空請求(要するに振り込め詐欺)も横行している。 この後しばらく、不正改造B-CASカードの販売事件は報道されなかったが、2020年春、航海の途中の空き時間が多くなる貨物船やクレーン船といった船舶の乗組員に客層を絞り、比較的現行犯逮捕の難しい海上で今なお不正改造B-CASカードが販売されている状況が報道された。
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