料金制度と乗降方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 16:10 UTC 版)
神戸市では「運賃」ではなく「料金」と呼んでいる。 すべての路線・車両で、乗降方式は後(中)乗り前降りである。料金は後払いで下車時に支払う。料金箱は、後述する「普通区」「近郊区」の区別に関わらず両替方式のため、ちょうどの料金がない場合は、事前に料金箱に備え付けられている両替機で両替する必要がある。これは1973年2月25日に、前乗り(車掌添乗車を除く)後(中)降り先払いを基本とする方式から変更されたものである。 料金体系は、「普通区」と「近郊区」に大きく分けられる。前者は、大人料金210円の均一運賃だが、後者は乗車区間により料金が異なる。近郊区と普通区をまたがって運行するバスは、境界停留所より普通区寄りの区間のみを利用する場合、大人料金は210円の普通区料金となる。普通区のみで使用できる乗車カード・定期券類も利用できる。なお、近郊区から普通区に乗り入れてくるバスは、整理券が発行されているので、近郊区のみの乗車でも受け取る必要がある(逆に普通区から近郊区に乗り入れるバスの場合、近郊区に入ってからの料金境界の関係で、普通区内でも整理券を発行する区間と発行しない区間がある)。 近郊区は、均一運賃制をとらないバス会社と共同運行を行っていることや、共同運行ではないものの、それらのバス会社がメインで運行しているエリアに乗り入れるバス、また比較的長距離を走行するバスが該当する。 また、近郊区の1つとして山陽バス共用区間である「山陽均一区」がある。主に垂水営業所が担当している。当該地区で運用される垂水営業所所属車両すべてと、15系統で運行する落合営業所所属の一部車両は、2014年11月30日まで「つり銭方式」だったが、2014年12月1日より他系統に併せ、「両替方式」に統一された。 山陽共用区を含む近郊区を走行するバスには、整理券発行機、磁気カード乗車用カードリーダライターを備えた車両が使用される。なお、普通区でも、これら装備を備えた車両が運用されることもある。ICカード乗車用カードライターについては、近郊区・普通区とも全車両に備えられている。なお、停留所案内装置は、近郊区で運用されるときには整理券番号ごとの料金が表示できるように対応されていたり、垂水営業所所属車両は一般的な整理券番号式料金表示を備えるなど、それぞれの料金制度に対応した機器が搭載されていたが、2008年の機器更新で全車両がLCDパネル式に置き換えられ、機器統一が図られるとともに、近郊区運用時の料金表示欄が拡大し、見やすくなった。均一区運用のときは、料金表示欄は「大人210円・小児110円」で固定表示となる。 幼児料金は、大人または小児1人につき2人まで無料となる。 小児料金は、大人料金の半額で、5円の端数は10円に切り上げる。 市バス向けの乗車カードとしては、「市バス専用カード」と「市バス昼間専用カード」の2種類がある。ここでの市バス専用の意味としては「(市営交通でも)地下鉄では利用できないバス専用(のカード)」の意が強い。両者の大きな違いとしては、前者が時間帯を問わず利用できるのに対し、後者は利用できる額が前者に比べて多いものの、利用できる時間帯が「昼間時」に限定されており、この時間帯以外に使用することはできない。それ以外の部分については専用カード・昼間専用カード共に基本的にシステムは同じであり、普通区・近郊区全線で使用できるほか、山陽バスでも共通利用が可能である。市バス専用カードが1,000円券(1,100円分利用可能)と2,000円券(2,200円分利用可能)および小児専用カード1,000円券(1,100円分利用可能)の3種類、昼間専用カードが1,000円券(1,300円分利用可能)と2,000円券(2,600円分利用可能)の2種類がそれぞれ存在するが、2021年6月で発売終了、2022年4月で利用終了となる。なお、かつてはより高額なカード(4,000円券)も発行されていたが、2008年12月に大阪市交通局発行のスルッとKANSAIカードについて偽造カードが発見されて以来、多くの偽造カードが発見されたことから、偽造カードによる損害拡大を防止するために、2010年4月1日付で他の種類の高額カードと共に発売が中止されている。 他に、地下鉄と共通利用できるカードとして、「NEW Uラインカード」や、「市バス・地下鉄共通1日乗車券」がある。前者は、地下鉄と市バスを同一日内に乗り継ぐと割引が適用される。その代わり、プレミアムが「市バス専用カード」に比べて少ない(3000円券は3200円分利用可能、1000円券にはプレミアムがない)。 スルッとKANSAI協議会に参加しているが、スルッとKANSAI発行の磁気カード類は2018年2月1日付で利用終了となった。 また、2008年9月1日から、ICカードPiTaPa、ICOCAでの料金支払いに対応した。PiTaPaでは、利用額割引が受けられるが、近隣で地下鉄・市バスともに運営する事業者としては、先にICカードシステムを導入した大阪市交通局の利用額割引(フリースタイル)と異なり、地下鉄とバスは別々に利用額が計算される。ICOCAでは、2021年4月から、市バス・山陽バス・神戸交通振興バスの1か月の乗車料金に応じてポイントが貯まり、翌月以降の乗車料金として利用できる神戸市バス・山陽バス共通乗車ポイントサービスを導入している。地下鉄と異なり、全国相互利用サービスには当初不参加であったが、2017年4月15日より対応を開始した。またICカード利用時には1乗車目の降車から2乗車目の降車まで60分以内に連続して市バスを乗り継ぐ場合に最大210円の割引が適用される制度がある。2乗車目が同一系統や逆方向への利用でも適用され、短時間の用務や買い物であれば片道運賃で往復が可能である。ICカード利用時には近郊区・普通区ともに、乗車時と降車時にカードリーダライターにカードをかざす必要がある。 普通区の定期券は、2002年7月1日から、普通区全線で共通利用が可能になった(それまでは単一系統全区間のみ利用可能で、複数系統利用の定期券にする場合は割増されていた)。また、特に記載はなされていないが、普通区の通勤定期券は、阪急バス(普通区相互間の利用に限る)と神戸交通振興の山手線・神戸山麓線(7系統)でも利用が可能である(山手線以外の神戸交通振興の路線には、この定期券は利用できない。これは、山手線が、2001年7月6日まで営業していた市バス91系統の復活を望む市民の声を受けて誕生したためである。しかし、神戸市交通局ではなく神戸交通振興による運行となったのは、市の財政へ直接に影響を与えないことや、経営状況を透明化しやすく採算性を検討しやすいことなどがねらいにある)。
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