損害賠償請求訴訟、その後の和解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 08:23 UTC 版)
「貴ノ岩義司」の記事における「損害賠償請求訴訟、その後の和解」の解説
2018年10月3日に、貴ノ岩が前年10月の秋巡業中の暴行について元横綱日馬富士に3000万円の慰謝料を要求していたと報じられた。翌4日に代理人弁護士が記者会見し、元日馬富士の代理人との間での協議が成立せずに東京簡易裁判所での民事調停となっていたが不調に終わったため、同日付で東京地方裁判所に損害賠償を求める民事訴訟を起こしたことを明らかにした。請求金額は2413万5256円で、入院治療費等(合計435万9302円)・給与差額(148万1840円)・懸賞金の逸失(900万円)・巡業手当の逸失(38万円)・退職時の幕内養老金等の減(172万円)・慰謝料(500万円)・弁護士費用(219万4114円)の合計である。しかし同月30日に貴ノ岩は提訴を取り下げた。母国であるモンゴルで自身と家族に対するバッシングが発生し家族から提訴の取り下げを頼まれたことが理由で、「治療費をはじめ一切の費用を自分で負担することにした。これからは相撲道に邁進し、相撲で活躍して、私の家族にはモンゴルで平穏な生活をさせたいと思う」とコメントしている。 訴訟の取り下げの背景について、貴ノ岩の母国モンゴルでの事情を旭鷲山やJICAの仕事でモンゴルを訪問していた教育評論家・尾木直樹が説明している。年功序列の考え方が根強いモンゴルでは、先輩に対しての訴訟(争いを起こすこと)自体が反発を呼び、2400万円という請求金額が驚かれたこと(モンゴルではその10倍ほどに受け取られる)が元日馬富士への同情につながってしまったという。訴訟の代理人弁護士もモンゴル国内で裁判に至った経緯や考え方を説明しようとしていたが、貴ノ岩が「自分が損害をかぶればモンゴル国内に納得してもらえるだろう」と判断するに至ったため尊重せざるを得なくなったと話している。 同年12月7日に起こしてしまった付け人への暴行事件の要因について、この訴訟取り下げの経緯や10月の貴乃花の退職による部屋の消滅、11月場所前に日本での親代わりである貴乃花と景子夫人の離婚を知りショックを受けてしまったことで、情緒不安定となっていたことが指摘されている。付け人の顔が翌日も腫れるほどの暴行について、本人もまずいと思ったが「おさえることが出来なかった」と話していたという。 2019年1月18日に、17日夜に都内で元日馬富士と会食をし和解したことが報じられた。師匠の20代千賀ノ浦もマスコミの取材に対してその事実を認め、「早く和解した方がいいですから」とコメントしている。元日馬富士がモンゴル国内での貴ノ岩・家族へのバッシングを懸念し、和解によって帰国しやすくなることを望んでいたことが2月2日の断髪式の日に明らかになった。 2021年4月19日、相撲協会の諮問機関である「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の最終会合が行われ、八角理事長に提言書が提出された。この提言書中には一代年寄のことにも言及があり、弟子が継承できないこと・協会の定款に根拠規定はないことなどから「一代年寄の名乗りを認める根拠は見いだされない」として制度の見直しが提言された。2017年のこの事件現場に白鵬がいたこと、また白鵬が(事件の真相究明中の)11月場所優勝インタビューで「場所後に真実を話し、膿を出し切って、日馬富士関と貴ノ岩関が再び、この土俵に上げてあげたいなと思います」と話し、会場で音頭を取って万歳三唱をするなどの振る舞いが非難されたことも影響していると一部で報じられた。
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