打者・野手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 16:18 UTC 版)
出塁率 打率ではなく、四死球も含めた出塁する確率。ビーンの定義に基づけば「アウトにならない確率」あるいは「投手に対する勝率」である。打率が高いに越したことはないが、高打率の選手は他球団からの評価も高くなるため、打率が多少低くても出塁率の高さを優先して選手を獲得した。 長打率 塁打数を打数で割った値。安打、特に長打を打った数が多い打者ほど数字が大きくなる。ビーンは長打率と出塁率を合算した指標である「OPS」を野手の編成において最重要視した。通常、OPSは出塁率と長打率は1:1の比率であるが、ビーンは出塁率と長打率の比率を3:1として算出した指標(NOI)も使用しており、出塁率により重きを置いていることが分かる。 選球眼 ボールを見極め四球を選ぶ能力。つまり、出塁率を上げるために必要な要素である。投手により多くの投球をさせる能力、言い換えれば「粘る力」は相手投手の疲弊を招き、四球を得る確率の向上に繋がるためである。平均して中継投手は先発投手よりも能力が劣るため、相手投手を疲弊させて投手を交代させれば、さらに出塁率を上げることが出来る。ジェイソン・ジアンビの弟ジェレミー・ジアンビは、総合的な打者としての能力は兄とは比較にならないほど低かったが、粘る力においては兄を上回っていたためレギュラーとして起用された。 一般的には努力により向上させられると考えられているが、ビーンは「選球眼は天賦の才で決まる」としており、また「野球の成功(勝利)に最も直結する能力である」と結論づけている。 慎重性 選球眼と併せて重要視され、待球打法を良しとする。ボール・ストライクに関わらず自分の苦手な球に手を出さないことが重要である。ビーンの理論では必ずヒットに出来る保証がない限り、ヒットになる可能性の低い球に手を出す打者は好まれない。また、初球に手を出すことも否定する。ただし、選手の気質に依存する部分が大きく、コーチングにより改善できる部分はごくわずかであることから、例えばドミニカ出身の選手に対しては積極打法を容認した。
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打者・野手
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バント(犠打) 自らアウトを進呈する行為、得点期待値を下げる行為であるとして完全否定した。従来の野球観に基づく場合、例えば無死一塁の状況では犠打によって一塁走者を進塁させるという作戦がセオリーであるが、これは得点確率(三死までに走者が生還する確率)を向上させる一方で得点期待値を下げる行為となるため、ビーンの方法論にそぐわない。 しかし、ビーンの考えが球界全体に浸透した2000年代後半頃からは、逆に多用させるようになっている。 盗塁 あまり意味のない行為と定義した。全ての盗塁企画のうち成功するのは70%前後であり、盗塁を試みてアウトになるリスクを冒してもホームベースを踏んだ場合に得られる得点は1点であることに変わりはない。統計学的見地から見ても、アウトになるリスクを冒すより塁上に留まって長打を待つ方が得点期待値が高い。また、盗塁を狙うことのできる選手はごく一部であり、チーム戦略としての普遍性がない。 同様にヒットエンドランも、高いリスクに対し得点期待値向上への影響が乏しくビーンの理論では非効率であるが、2000年代後半頃は犠打と同じく一部選手には多用させるようになった。 打点・得点圏打率 打者が安打を打った際の走者の有無は「状況(運)」そのものであり、その打者自身の能力が導いたものではなく単なる偶然である。そのため、「打者が安打を打った時にどれだけ走者がいたか」を示すだけのものと言える打点および得点圏打率をもって「勝負強い打者かどうか」を判断するのは誤りである。 得点圏での打席数は全打席より当然ながら少ない。サンプル数が少なくなればなるほど確率は実際の数値より「揺らぎ」が大きくなる(大数の法則)。得点圏打率が通常の打率より高くなったり低くなったりするのは、選手の能力よりも揺らぎの影響のほうがはるかに大きいのである。 失策・守備率 失策であるか否かは記録員が主観的に判断するものであることに加え、守備範囲が広く積極果敢に打球を取りに行く選手のほうが、守備範囲が狭く打球を追うことに消極的な野手よりもかえって失策が多くなる(打球に追いつけてしまうがために犯してしまう失策がある)という可能性が考えられることから、どちらも選手の能力を示す数値・指標としては機能していない。 回帰分析するためのデータが蓄積しにくいことや、試合に及ぼす影響が攻撃力よりも少ないこともあってさほど守備力を重要視していなかったビーンだったが、フィールドに数百の座標を設定し、打球の速度・軌跡を調べ、「速度○○、軌道△△を伴い地点××に落下した打球」という形式で打球をより厳密に判別する手法を導入したことがある(ビーンオリジナルの手法ではなく、野球データ分析会社AVMの手法を真似たもの)。それによって打球を処理した野手の守備力の数値化を図ったが、野手の捕球するまでの行動が反映されないなどの問題があったためやはり重要視はしなかった。
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