打者の守備妨害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 09:55 UTC 版)
2007年6月8日、阪神タイガース対オリックス・バファローズ(阪神甲子園球場) 8回裏(阪神の攻撃)、無死一塁で、阪神の鳥谷敬のバントによる右方向への小フライを捕球しようとしたオリックスの日高剛捕手が鳥谷の脚につまずいて転倒した。この転倒で捕球ができなかったと判断した谷博球審は、鳥谷の守備妨害を認めアウトを宣告した。このとき鳥谷は、バント後に位置をまったく変えておらずバッタースボックスの中で静止していた。そのため、阪神の岡田彰布監督は、鳥谷が守備を妨害しようとしてバッタースボックスの外に出たり、何らかの動作をしたりはしていないから、規則6.06(c) の規定にある、「打者がバッタースボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレイ及び捕手の守備または送球を妨害した場合」に該当していないと主張したとされる。一方、規則7.11 には「攻撃側のチームのプレイヤー、ベースコーチまたはその他のメンバーは、打球あるいは送球を処理しようとしている野手の守備を妨げないように、必要に応じて自己の占めている場所(中略)を譲らなければならない。」とあり、これに反した場合は守備行為の対象となるプレイヤー(この場合は打者の鳥谷自身)がアウトになる。谷はこれを適用して鳥谷をアウトにしたとも考えられる。岡田の抗議と谷の説明は平行線をたどり、岡田が谷の体を突く行為を行ったため谷は岡田に退場処分を課し、判定はそのままで試合は再開された。 2014年4月4日、オリックス対埼玉西武ライオンズ(京セラドーム大阪) 4回裏(オリックスの攻撃)、無死一塁で、オリックスの安達了一が投球をバントした。打球を処理しようとした西武の炭谷銀仁朗捕手と一塁に走ろうとした安達が交錯したが、炭谷はそのまま打球を拾って二塁に送球、さらにボールは一塁に転送された。本来ならばこれで一塁走者と打者走者との併殺が成立するが、このケースでは交錯の瞬間に球審が守備妨害を宣告しており、これが優先されて打者はアウト、走者は一塁に戻されて試合再開となった。結果的に、守備妨害をしたことが攻撃側に利することとなった。 2014年7月23日、オリックス対北海道日本ハムファイターズ(京セラドーム大阪) 9回表(日本ハムの攻撃)、一死一塁で西川遥輝が三振(振り逃げができない状況のためこの時点で西川はアウト)した際、一塁走者の谷口雄也が盗塁を試みていた。オリックスの伊藤光捕手が二塁に送球したところ、伊藤の送球が西川の振り上げていたバットに直撃して跳ね返り、本塁上に落下した。既にアウトになった打者が、味方の走者に対する捕手の送球を妨害したとして守備妨害が宣告され、守備の対象(盗塁を試みた谷口)も併せてアウトになって試合が終了した(1対0でオリックスの勝利)。 2014年10月30日、福岡ソフトバンクホークス対阪神(日本シリーズ第5戦、福岡 ヤフオク!ドーム) 9回表(阪神の攻撃)、一死満塁で打者の西岡剛は一塁手の前にゴロを打った。打球を処理したソフトバンクの明石健志一塁手が本塁に送球し(三塁走者がフォースアウト)、これを受けた捕手の細川亨は続いて併殺を完成させるべく一塁に送球するが、細川の送球は打者走者の西岡に触れてファウル地域に転がった。この間に二塁走者の田上健一が本塁に達したが、西岡は打撃後の走塁の際にファウルラインの内側を走っており、白井一行球審は西岡の走塁が一塁手の守備を妨げたとして西岡に守備妨害によるアウトを宣告した。田上の得点は認められないためこのアウトによって試合終了となり、1-0でソフトバンクの勝利が宣せられた。そしてこれが同シリーズにおけるソフトバンクの4勝目となったため、ソフトバンクの日本シリーズ優勝が決定した。なお、守備妨害による試合終了は日本シリーズ通算388試合目にして史上初の珍事であった。 「2014年の日本シリーズ」も参照
※この「打者の守備妨害」の解説は、「守備妨害」の解説の一部です。
「打者の守備妨害」を含む「守備妨害」の記事については、「守備妨害」の概要を参照ください。
- 打者の守備妨害のページへのリンク