所持と分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 08:18 UTC 版)
銃刀法に定める範囲の古式銃の所持は、現代銃と異なり属人的な免許・許可ではなく、属物的な登録制で、登録は都道府県教育委員会の所管(かつては文化財保護委員会であった)である。登録は日本刀などと同じく銃に対してなされ、登録を受けた銃器は誰でも所持・所有できるが、実際に実弾・空包の発砲及び火薬の入手所持消費に関しては、その都度(実弾射撃を許可された者は、火薬購入については1年間、また消費は6ヶ月間限定の)所轄の警察署を通じて公安委員会の別途の許可を受ける必要がある。 古式銃とは主に前装式銃砲のことを言うが、初期の後装銃も佐賀藩の主力銃であったスペンサー銃(のちにウインチェスター銃の祖形となった)をはじめ、普仏戦争の主要銃であったシャスポー銃(後に村田式の開発の淵源となった)やドライゼ銃(ツンナール)など類種のものも相当数輸入されていた。ただこれらは維新後に訓練銃などとして使用されたり、外国に売却されたりして、現在国内残存数は比較的少ない。日本の法律では現在のところ、古式銃とは1867年の時点で国内に存在したことが個別に証明できた国産または外国製の歴史遺物銃器の実物である(したがって実物に忠実に作られたものであってもレプリカは認められない。これは古式銃の登録制度が歴史史料及びその美術価値の保存を目的としていて、射撃に使用することを想定して制定されたものでないことによる)ということになっている。ただし真正の古式銃であっても明治以後に新式又は現代の弾薬が使用できるように改造されたもの、あるいは現用の弾薬(装弾)が使用できる可能性のあるもの(もっとも顕著な例は坂本龍馬が使用したと言われるSW・Mk1、Mk2リボルバー)などは(現代銃に準ずる機能を有するもの)として登録審査時に排除され、したがって所有できないものがある。真正の歴史遺物の国産火縄銃であれば、たとえ外国から里帰りしたものであってもほとんどはそれらの問題は無い。競技用として、また空包用として使用されているものは国産火縄銃がほとんどで、すべて歴史遺物に限られる。 なお、国内で古式銃登録をされている火縄銃(即ち、火縄銃競技などで使用する目的で購入できる銃)は前述の通り1867年(慶応3年)以前に製造された物とされているが、近年こうした古式銃の中に明治期以後から現在に掛けて贋作師によって違法に製造されたと思われる「贋物」の火縄銃が存在する事例が研究者やコレクターによって狩猟専門誌などに報告されている[要出典]。 こうした贋作火縄銃は前述の「幕末期ごろまでに諸藩により研究された水平二連式や連発式の試作火縄銃」とされる物に特に多く見られ、本物として鑑定済みの物に比して稚拙な構造の機関部(カラクリ)や、銃身接合技術の明らかな手落ちなどから贋物と判明する場合が多い。また、「それまで史料に全く登場していなかった形式の銃が突如“発見”される」といった形で市場に流通することで明るみに出る場合もあり、体系だった研究を行う専門家が極めて少ない事情もあって、時に真正の古式銃として都道府県教育委員会の登録を受けてしまっている物すら存在する。[独自研究?] こうした贋作火縄銃は文化財としての価値が皆無であることは当然として、本来の火縄銃職人ではない者が形だけを擬えて偽作した物である故に、実射を行う為の実用銃としても安全性が極めて乏しい為、過去に実射競技で使用されていた実績のない火縄銃や、一般的な形式とは異なる珍しい火縄銃を購入する際には信頼の置ける研究家の鑑定を経て本物と認定済みの物を選ぶことが、自分の身の安全を確保する意味でも強く推奨される。[独自研究?]
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