当時の非常任理事国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 10:33 UTC 版)
「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の記事における「当時の非常任理事国」の解説
アルゼンチン - 3月15日、国連安保理のアルゼンチン代表マリア・クリスティーナ・ペルセバルは、米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に賛成票を投じた。同代表は、この決議案が領土保全の原則を主張し、すべての政治的主体が関与する平和的解決に向けた建設的対話に貢献することから、賛成に票を投じたと述べた。このような解決策を妨げるような行動を控えるよう促す一方、自国のことは自国民が決めることであり、安保理は状況を規定するのではなく、国際的な平和と安全を維持するためのものであるとし、アルゼンチンは、すべての国が国政不干渉の原則を尊重することを希望していると述べた。 3月19日、アルゼンチン大統領のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルはパリでの記者会見で、クリミアでの住民投票を非難しながらフォークランド諸島(アルゼンチンが領有権を主張しているが、2013年に同島民がイギリス主権に投票した南太平洋上の英国領)での住民投票を支持するのはダブルスタンダードだとして西側諸国を非難した。プーチン大統領は後にフェルナンデスに電話し、彼女の支援に感謝を述べた。アルゼンチンはロシアによるクリミアの併合の無効性についての3月27日の国連総会決議68/262では棄権した。 オーストラリア - 3月2日、トニー・アボット首相はウクライナにおけるロシアの行動は「友人や隣人がする類のものではなく、ロシアは撤退すべきだ」と述べた。3月3日、首相はオーストラリア下院にて「ロシアは撤退して、ウクライナから部隊を引き揚げるべきであり、ウクライナの人々は自分たちの将来を決定できて然るべきだ」と語り、オーストラリア政府はアンドリュー・ロブ貿易投資大臣のロシア訪問計画を中止した。 チャド - 3月15日、国連安保理のチャド代表マメット・ゼネ・シェリフは、米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に賛成票を投じた。自国政府は一貫してウクライナの主権および領土一体性を支持しており、そうした原則に鑑みて同決議に賛成票を投じたと彼は説明した。抑制と冷静さを求める安保理の訴えにもかかわらず危機が継続的拡大するのを懸念し、彼は対話を持つことで関係者が国家的和解と領土一体性を維持するための道を開くことはまだ可能であると述べた。それとともに、国連憲章に沿って、領土一体性の原則を支持し、武力を使わず平和的に紛争解決することの重要性を改めて繰り返した。 チリ -3月15日、国連安保理のチリ代表オクタビオ・エラズリズは、米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に賛成票を投じた。彼は「ウクライナの危機への適切な対応であった。ブダペスト覚書はウクライナの独立と現在の国境を遵守し、軍事的手段を慎むよう締結国に求めている。この実施予定の住民投票はウクライナの憲法に沿っていない」と述べ、法の支配が国内的にも国際的にも遵守されることが基本であると強調した。また、「危機は対話を通じて平和的に解決されなければならず、拒否権行使によって安保理が同決議を支持できなかったことをチリは遺憾に思っており、安保理が責務を果たさなかったことを言明した。 ヨルダン - 3月15日、ヨルダンは米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に投票した。ヨルダンの大使ゼイド・ラアド・アル・フセインは、ウクライナの主権、領土一体性と独立、および内政不干渉の原則への尊重から、賛成票を投じたと述べた。国連憲章、特に平和的紛争解決に関する第1条の重要性を彼は強調し、クリミアはウクライナの主権下にあると発言した。 ナイジェリア - 国連安保理のナイジェリア代表U・ジョイ・オグヲは、米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に賛成票を投じ、その理由は、この決議文が国連憲章に規定された原則を体現しており、加盟国には平和的手段によって紛争を解決する義務があるからであるとした。また、決議案が特定の国を対象としたものではないことを指摘し、ナイジェリアとカメルーンの間の領土問題(バカシ半島領有権問題)を国際司法裁判所を通じて平和的に解決したことが、その先例となるはずだと述べた。ナイジェリアは、国の構成を変更することを目的とした一方的な行動に反対した。 ルワンダ - 3月15日、ルワンダ大使ウジェーヌ=リシャール・ガサナは米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に投票した。彼は決議案での行動タイミングが生産的ではないと述べた。今は一国を孤立させるようなレトリックよりも率直な対話をする時間だとした。ウクライナおよびクリミアの情勢は急速に展開しており、いくつかの国々からの圧力が根本原因の慎重な分析から注意を逸らしてしまった、と語った。ルワンダは、主権、結束、領土一体性などの重要な原則を具体化した決議案に賛成票を投じた一方で、 ウクライナに対して包括的な国家間の対話を開始するよう促し、国際社会に対しては更なる情勢悪化を回避するための支援を要請した。 韓国 - 3月15日、国連安保理の韓国代表オ・ジュンは、米国が提出した、3月16日のクリミアでの住民投票を非難する決議に賛成票を投じた。彼は「主権、領土一体性、統一などの重要な原則を具体化する決議案に賛成票を投じた。これらの原則は尊重されるべきだ。本日は(ロシアの拒否権発動により)採択されなかったが、だからといって外交的解決への道が閉ざされるわけではない」と説明した。
※この「当時の非常任理事国」の解説は、「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の解説の一部です。
「当時の非常任理事国」を含む「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の記事については、「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の概要を参照ください。
- 当時の非常任理事国のページへのリンク