富山駅路面電車南北接続事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 09:26 UTC 版)
「富山地方鉄道富山軌道線」の記事における「富山駅路面電車南北接続事業」の解説
富山ライトレールは2006年(平成18年)4月29日に西日本旅客鉄道(JR西日本)富山港線を一部路面電車化して引き継ぐかたちで開業した。これは、富山市内はもちろん、全国的に見ても久々の路面電車の新規開業・路線拡大として話題となったが、この路線は元々は私鉄の戦時買収により国鉄に買収される以前は富岩線という富山地方鉄道の一路線であった。富山駅が2015年(平成27年)の北陸新幹線開業に伴い高架化される予定となったため、この路線の帰趨を巡っては、路面電車化のほか、鉄道線のままJR高架駅乗り入れや全線廃止してバス化するなどの様々な案が取り沙汰されたが、結果的に路面電車化した場合の社会的総便益が最も大きくなるとの結論に至り、路面電車として再出発することになったのである。 この判断には新幹線開業後に予定されている在来線高架化工事が完了し次第、富山港線を高架下から富山駅南口側へ延伸して富山軌道線と接続、直通運転を行うことで、富山中心市街地から岩瀬浜方面の交通利便を劇的に向上し得ることが当初より念頭に置かれていた。 富山市では「県都富山の新たな顔をつくる」として、富山駅高架下新幹線改札正面の南北自由通路にこの路面電車の南北接続線を通す設計で整備計画を進めており、そのコンセプトとして「セントラム・ポートラムが改札口から見える空間構成」を第一番に掲げている。 2013年(平成25年)4月26日、国土交通省は富山地方鉄道と富山市が申請していた延伸事業を認定したと発表した。それによると、富山駅高架下に新設予定の富山駅中央電停(仮称)から現軌道線との接続点までの160mを敷設して、北陸新幹線が開業する2014年度(平成26年度)末に開業し、全電車を富山駅中央電停まで運行するとしている。軌道施設などは富山市が建設・保有して、超低床電車の導入や電車の運行は富山地方鉄道が行う上下分離方式が採られる。富山ライトレール富山港線の富山駅中央電停までの延伸は、計画認定申請に係る審議時の配布資料によると概ね2018年度(平成30年度)の完成を目指すとしていた。なお富山市は、富山駅中央と仮称していた富山駅高架下に新設予定の停留場名について、「富山駅」に決定したと2014年6月2日に発表した。また従来の富山駅前停留場は、乗客が混同する恐れがあるため、「電鉄富山駅・エスタ前」に改名した。 富山駅停留場は北陸新幹線の開業に合わせて2015年3月14日に開業した。2015年12月4日、国土交通省は富山市と富山ライトレール・富山地方鉄道から出されていた軌道運送高度化実施計画の変更を12月7日付で認めると発表した。これによると、富山ライトレール側の軌道延伸工事は平成31年/令和元年度(2019年度)、富山ライトレール複線化も含めた事業の完成は令和2年度(2020年度)の予定となっていた。2019年2月時点では、南北接続の完成は2020年3月の予定とされていた。 富山市・富山地方鉄道・富山ライトレールは2019年10月1日に記者会見を開き、2020年3月21日から南北を接続しての運行を開始すること、またそれによる運行形態の概要を発表した。 富山港線と富山軌道線の直通は南富山駅前方面・富山大学前方面・環状線方面の全てに対して行う(朝ラッシュ時は環状線方面への直通なし)。朝ラッシュ時は富山港線で1時間あたり6本運行するうち、3本を南富山駅前方面・3本を富山大学前方面へ直通。日中は富山港線で1時間あたり4本運行するうち、1本を南富山駅前方面・1本を富山大学前方面・2本を環状線方面へ直通。 富山軌道線の各区間では現行の運行間隔を維持するが、一部が富山港線直通に振り替えられる。このため、南富山駅前 - 富山大学前の通し系統(現行の2系統)は日中1時間に6本から5本に、環状運転(現行の3系統)は日中1時間に4本から2本へと減便となる。 なお、これに関連して丸の内停留場および中町(西町北)停留場で、岩瀬浜方面と南富山駅前・富山大学前方面との間の乗継割引が開始された。
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