実際の航法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/04 16:25 UTC 版)
「ウェイファインディング」の記事における「実際の航法」の解説
実際に船を出してから目的地に到達するまでの航法は、航法を行う海域や流派によって著しく異なるので、一般化して解説することは難しい。例えばソシエテ諸島からアオテアロア(ニュージーランド)を目指す場合、南東の貿易風を利用してポート・タック(左舷開き)で南西の進路を維持し、日没時の太陽の位置で微調整を行えば、かなりの確率でアオテアロアに到達可能である。またカロリン諸島のように島と島の間が詰まった海域では、エタク・システム(航法師が航法の目印となる島々の心的表象を航海カヌーを取り巻く水平線の上に配置し、航海カヌーの進行に従ってそれらを移動させる。航法師は目印となる島々の心的表象の位置によって現在位置を把握する)が有効である。 ここではナイノア・トンプソン式の航法技術による、ハワイ・タヒチ間の航法を紹介する。 出航後、航法師は北東貿易風に対しポート・タックを指示。ひたすら東への距離を稼ぐ。ソシエテ諸島はハワイより東に存在する為である。 航法師はハワイ諸島、マルケサス諸島、ツアモツ諸島、ソシエテ諸島、クック諸島の心的表象を把持し、それらを航海カヌーを取り巻く水平線上に配置する。これらの心的表象は航海が進むに従って水平線上を水平に移動する。心的表象の位置は32方位のスター・コンパスの区切り(ハウス)によって把握される。 航法師は予めプラネタリウムにおいて学習してある星々の動きを観察し、現在の緯度を推測する。緯度は北緯何度、南緯何度というような数値によって把握される。緯度算出に利用される星の数は百前後である。 航法師は船の針路を天体と海洋波の観察によって推測する。基本となるのは天体観察であり、天体が観察出来ない時には海洋波を利用する。方角の推測に用いられる天体は数個程度である。 航海カヌーがソシエテ諸島より充分に東に出たと航法師が判断した所で、航法師は航海カヌーを真南に向ける。 赤道無風帯通過後、南東貿易風に対し詰め開きに近いポート・タックでなるべく西に流されないようにして南下。ツアモツ諸島を目指す。 航海カヌーがツアモツ諸島に充分に接近したと航法師が判断した段階で、航法師は乗組員に鳥類の探索を指示。アジサシ類が最初の目標となる。また椰子の葉などの漂流物も目印となる。このような陸地探索法は「エクスパンデッド・ランドフォール」と呼ばれる。 アジサシ類が発見されると、航法師はアジサシの行動の観察から島の方向を推測。航海カヌーをそちらに向ける。 ツアモツ諸島のいずれかをランドフォール(視認)し、必要であればそこからソシエテ諸島までの航程を再計算する。 再びエクスパンデッド・ランドフォールを行い、東側からタヒチ島に接近、入港する。
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実際の航法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 20:16 UTC 版)
実際の天測航法には、時刻を測るクロノメーターと角度を測る六分儀、天体の位置を知るための航海年鑑(または航空年鑑、天測暦とも)、高度方位角計算のための天測計算表、その付近の地図(海図)を使用する。天測計算表では、足し算と引き算しか必要としない。ノートパソコンや科学技術計算用の電卓があれば、即座に六分儀の測定値から位置の線を求めることができる。手で計算する方法であっても、1日か2日の訓練で天測航法の計算方法をマスターできる。 現代では推測航法の修正に天測航法と衛星測位システムを組み合わせて使う。推測航法とはある時点の船舶の位置と進路の方位と速度から位置を推定する航法である。複数の方法を同時に使用することで誤差を検出し、手順を単純化できる。この場合、航海士は時折六分儀を使って太陽の高度角を測定し、事前に正確な時刻と推定の観測位置に基づいて計算した高度角を比較する。地図に位置の線を直線として書き込み、それが推測航法の航路から数マイル以上離れている場合、さらに観測を行って、推測航法の起点を再設定する。 機械的故障や電気的故障がある場合、太陽の位置の線を1日に数回求め、その結果に基づいて推測航法で大まかなランニングフィックスを行う。
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