変数分離
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変数分離(へんすうぶんり、英: Separation of variables)は、常微分方程式や偏微分方程式を解くための手法。方程式を変形することにより、2つあるいはそれ以上の変数が式の右辺・左辺に分かれるようにすること。
- ^ a b 長島 隆廣『常微分方程式80余例とその厳密解』近代文芸社、2005年。ISBN 4-7733-7282-6。 国立国会図書館蔵書, 請求記号:MA117-H55(東京 本館書庫)
- ^ 長島 隆廣 (2018年12月). “常微分方程式80余例と求積法による解法” (PDF). researchmap. 2020年6月29日閲覧。
変数分離
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「ハミルトン-ヤコビ方程式」の記事における「変数分離」の解説
ハミルトン–ヤコビ方程式は変数分離によって解かれる場合に最も便利であり、その場合には保存量が直接的に求められる。例えば、ハミルトニアンが陽には時間 に依っていない場合、 を分離する事が出来る。そのとき、時間微分 は定数(通常 )となる必要があり、分離された解 を与える。時間に依存しない関数 は時にハミルトンの特性関数と呼ばれる。簡約されたハミルトン–ヤコビ方程式は以下のようになる。 他に変数分離が可能な状況として、ある一般化座標 とその微分 が一つの関数 を通してのみハミルトニアンの中に現れるような場合を考える。 この場合、関数 は二つの関数に分離でき、片方は だけに依存して、他方は残りの一般化座標に依存する。 この形でハミルトン–ヤコビ方程式を置き換えると、関数 は定数(以下 )となる事が示され、 に関する一階の常微分方程式 が得られる。 幸運な場合では、関数 は 個の関数 に完全に分離され以下のようになる。 この場合、問題は 個の常微分方程式に帰着する。 が変数分離可能かどうかは、ハミルトニアンの形と一般化座標の選び方の両方に依存する。直交座標でハミルトニアンが時間に依存せず、一般化運動量について二次式である場合に、以下の条件を満たせば は分離可能である。 すなわち、ポテンシャルエネルギーの項が加法的に各々の座標について分離可能で、各々の座標に対するポテンシャルエネルギーの項がハミルトニアンの対応する運動項と同じ座標依存の因子を掛けられている場合である(ステッケルの条件)。 直交座標におけるいくつかの例を以下の節に示す。
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変数分離
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「ハミルトン–ヤコビ方程式」の記事における「変数分離」の解説
ハミルトン–ヤコビ方程式は変数分離によって解かれる場合に最も便利であり、その場合には保存量が直接的に求められる。例えば、ハミルトニアンが陽には時間 t {\displaystyle t} に依っていない場合、 t {\displaystyle t} を分離する事が出来る。そのとき、時間微分 ∂ S ∂ t {\displaystyle {\frac {\partial S}{\partial t}}} は定数(通常 − E {\displaystyle -E} )となる必要があり、分離された解 S = W ( q 1 , … , q N ) − E t {\displaystyle S=W(q_{1},\dots ,q_{N})-Et} を与える。時間に依存しない関数 W ( q ) {\displaystyle W(\mathbf {q} )} は時にハミルトンの特性関数と呼ばれる。簡約されたハミルトン–ヤコビ方程式は以下のようになる。 H ( q , ∂ S ∂ q ) = E {\displaystyle H\left(\mathbf {q} ,{\frac {\partial S}{\partial \mathbf {q} }}\right)=E} 他に変数分離が可能な状況として、ある一般化座標 q k {\displaystyle q_{k}} とその微分 ∂ S ∂ q k {\displaystyle {\frac {\partial S}{\partial q_{k}}}} が一つの関数 ψ ( q k , ∂ S ∂ q k ) {\displaystyle \psi \left(q_{k},{\frac {\partial S}{\partial q_{k}}}\right)} を通してのみハミルトニアンの中に現れるような場合を考える。 H = H ( q 1 , … , q k − 1 , q k + 1 , … , q N ; p 1 , … , p k − 1 , p k + 1 , … , p N ; ψ ; t ) {\displaystyle H=H(q_{1},\dots ,q_{k-1},q_{k+1},\ldots ,q_{N};p_{1},\dots ,p_{k-1},p_{k+1},\ldots ,p_{N};\psi ;t)} この場合、関数 S {\displaystyle S} は二つの関数に分離でき、片方は q k {\displaystyle q_{k}} だけに依存して、他方は残りの一般化座標に依存する。 S = S k ( q k ) + S r e m ( q 1 , … , q k − 1 , q k + 1 , … , q N ; t ) {\displaystyle S=S_{k}(q_{k})+S_{rem}(q_{1},\dots ,q_{k-1},q_{k+1},\ldots ,q_{N};t)} この形でハミルトン–ヤコビ方程式を置き換えると、関数 ψ {\displaystyle \psi } は定数(以下 Γ k {\displaystyle \Gamma _{k}} )となる事が示され、 S k ( q k ) {\displaystyle S_{k}(q_{k})} に関する一階の常微分方程式 が得られる。 ψ ( q k , d S k d q k ) = Γ k {\displaystyle \psi \left(q_{k},{\frac {dS_{k}}{dq_{k}}}\right)=\Gamma _{k}} 幸運な場合では、関数 S {\displaystyle S} は N {\displaystyle N} 個の関数 S m ( q m ) {\displaystyle S_{m}(q_{m})} に完全に分離され以下のようになる。 S = S 1 ( q 1 ) + S 2 ( q 2 ) + ⋯ + S N ( q N ) − E t {\displaystyle S=S_{1}(q_{1})+S_{2}(q_{2})+\cdots +S_{N}(q_{N})-Et} この場合、問題は N {\displaystyle N} 個の常微分方程式に帰着する。 S {\displaystyle S} が変数分離可能かどうかは、ハミルトニアンの形と一般化座標の選び方の両方に依存する。直交座標でハミルトニアンが時間に依存せず、一般化運動量について二次式である場合に、以下の条件を満たせば S {\displaystyle S} は分離可能である。すなわち、ポテンシャルエネルギーの項が加法的に各々の座標について分離可能で、各々の座標に対するポテンシャルエネルギーの項がハミルトニアンの対応する運動項と同じ座標依存の因子を掛けられている場合である(ステッケルの条件)。2自由度系( N = 2 {\displaystyle N=2} )の場合、系が直交座標、極座標、放物線座標、楕円座標のいずれかで変数分離可能であるとき、またそのときに限り、運動量について2次の運動の積分が存在し求積可能であることが知られている(ベルトラン・ダルブーの定理)。 直交曲線座標におけるいくつかの例を以下に示す。
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