運動の積分
(保存量 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 09:07 UTC 版)
運動の積分 (うんどうのせきぶん, integral of motion) とは、古典力学において、系の時間発展に際して時間変化しない物理量のこと。保存量 (conserved quantity) や恒量[1]、運動の定数 (constant of motion)、第一積分[2] (first integral) あるいは単に積分とも呼ばれる[3]。一般に力学の問題が与えられたとき、系の自由度の数に等しい数の第一積分を見出すことができれば、その問題を「解く(求積する)」ことができる(リウヴィルの定理)ため、その存在あるいは具体的な表示を調べることは力学(特に可積分系)の研究において基本的である。
- ^ “仕事とエネルギー”. 2020年9月2日閲覧。
- ^ *柴山, 允瑠『重点解説ハミルトン力学系 : 可積分系とKAM理論を中心に』サイエンス社、2016年、64頁。
- ^ 大貫&吉田, p. 32.
- ^ 大貫&吉田, pp. 91-92.
- ^ 大貫&吉田, pp. 92-93.
- ^ 大貫&吉田, pp. 58-59.
- ^ 大貫&吉田, pp. 100-1102.
- ^ Liouville, J. (1853). “Note sur l'intégration des équations différentielles de la Dynamique”. Journal de Mathématiques Pures et Appliquées 20: 137-138 .
- ^ Arnold, V. I. (1963). “Small Denominators and Problems of Stability of Motion in Classical and Celestial Mechanics”. Russian Math. Surveys 18: 85-191. doi:10.1070/RM1963v018n06ABEH001143.
- ^ 大貫&吉田, pp. 100-107.
- ^ 大貫&吉田, pp. 30-42, 78-85.
- ^ 大貫&吉田, p. 151.
- ^ a b 大貫&吉田, pp.151-152.
- ^ Binney & Tremaine, pp. 159-160.
- ^ 大貫&吉田, p. 152.
- 1 運動の積分とは
- 2 運動の積分の概要
- 3 参考文献
- 4 関連項目
保存量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 17:08 UTC 版)
「ロトカ・ヴォルテラの方程式」の記事における「保存量」の解説
ロトカ・ヴォルテラの方程式は力学系における保存系に該当し、保存量と呼ばれる量を持つ。式から微分 dx/dy を求めると、 d x d y = d x / d t d y / d t = a x − b x y c x y − d y {\displaystyle {\frac {dx}{dy}}={\frac {{dx}/{dt}}{{dy}/{dt}}}={\frac {ax-bxy}{cxy-dy}}} となる。この変数分離形は c x − d x d x = a − b y y d y {\displaystyle {\frac {cx-d}{x}}dx={\frac {a-by}{y}}dy} となり、両辺を積分して H = c x + b y − d log x − a log y {\displaystyle H=cx+by-d\log x-a\log y} が得られる。ここで、log は自然対数である。右辺の H は一定の値を取る定数である。この式の意味は、時間経過に従って x と y が色々な値に変化しても、上式で与えられる H の値は常に同じに保たれるということである。このような量は保存量や積分不変量と呼ばれ、保存量を持つ系は保存系と呼ばれる。実際に H を t で微分すると、dH/dt = 0 となり、H が定数であることが確認できる。平衡点 (d/c, a/b) で H は最小値を取り、その値は H m i n = a + d − a log ( a b ) − d log ( d c ) {\displaystyle H_{min}=a+d-a\log \left({\frac {a}{b}}\right)-d\log \left({\frac {d}{c}}\right)} となる。H − Hmin はこの系におけるリアプノフ関数でもある。
※この「保存量」の解説は、「ロトカ・ヴォルテラの方程式」の解説の一部です。
「保存量」を含む「ロトカ・ヴォルテラの方程式」の記事については、「ロトカ・ヴォルテラの方程式」の概要を参照ください。
保存量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/12/08 22:54 UTC 版)
保存量とは、相空間上の実数値関数 V で、 を満たすものである。ただし、 V は相空間上の定数関数ではないとする。
※この「保存量」の解説は、「保存系」の解説の一部です。
「保存量」を含む「保存系」の記事については、「保存系」の概要を参照ください。
保存量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 01:03 UTC 版)
「コワレフスカヤのコマ」の記事における「保存量」の解説
固定点周りの剛体の運動は、オイラー角で指定されることに表されるように、3つの自由度を持つ。従って、系に3個の保存量が存在すれば、運動が完全に決定され、可積分系となる。まず系には、全エネルギー 1 2 ( A ω 1 2 + B ω 2 2 + C ω 3 2 ) + m g ( γ 1 ξ 0 + γ 2 η 0 + γ 3 ζ 0 ) = c o n s t . {\displaystyle {\frac {1}{2}}(A\omega _{1}^{\,2}+B\omega _{2}^{\,2}+C\omega _{3}^{\,2})+mg(\gamma _{1}\xi _{0}+\gamma _{2}\eta _{0}+\gamma _{3}\zeta _{0})=\mathrm {const.} } が常に保存量として存在する。ここで、第一項は運動エネルギー、第二項は重力ポテンシャルでの位置エネルギーである。また、鉛直方向の角運動量 L z = A ω 1 γ 1 + B ω 2 γ 2 + C ω 3 γ 3 = c o n s t . {\displaystyle L_{z}=A\omega _{1}\gamma _{1}+B\omega _{2}\gamma _{2}+C\omega _{3}\gamma _{3}=\mathrm {const.} } も常に保存量となる。従って、これら以外に独立な保存量が1つ存在すれば、系は可積分である。オイラーのコマの場合には、 A 2 ω 1 2 + B 2 ω 2 2 + C 2 ω 3 2 = c o n s t . {\displaystyle A^{2}\omega _{1}^{\,2}+B^{2}\omega _{2}^{\,2}+C^{2}\omega _{3}^{\,2}=\mathrm {const.} } また、ラグランジュのコマの場合には、 C ω 3 = c o n s t . {\displaystyle C\omega _{3}=\mathrm {const.} } である。コワレフスカヤは、A =B =2Cの場合に存在する保存量として、 ξ ξ ¯ = ( ω 1 2 − ω 2 2 − c 0 γ 1 ) 2 + ( 2 ω 1 ω 1 − c 0 γ 1 ) 2 = c o n s t . {\displaystyle {\begin{aligned}\xi {\bar {\xi }}&=(\omega _{1}^{\,2}-\omega _{2}^{\,2}-c_{0}\gamma _{1})^{2}+(2\omega _{1}\omega _{1}-c_{0}\gamma _{1})^{2}\\&=\mathrm {const.} \end{aligned}}} を見い出した。但し、 ξ = ( ω 1 + i ω 2 ) − c 0 ( γ 1 + i γ 2 ) ( i = − 1 ) {\displaystyle \xi =(\omega _{1}+i\omega _{2})-c_{0}(\gamma _{1}+i\gamma _{2})\qquad (i={\sqrt {-1}})} c 0 = m g ξ 0 A {\displaystyle c_{0}={\frac {mg\xi _{0}}{A}}} である。この保存量はコワレフスカヤの積分と呼ばれる。
※この「保存量」の解説は、「コワレフスカヤのコマ」の解説の一部です。
「保存量」を含む「コワレフスカヤのコマ」の記事については、「コワレフスカヤのコマ」の概要を参照ください。
保存量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/11 01:26 UTC 版)
可積分系であるKdV方程式は、時間に対して不変となる無限個の独立な保存量を持つという著しい性質を持つ。1968年、日系人数学者ロバート・ミウラ(英語版)らによって、この性質は見出された。KdV方程式 u t + u u x + u x x x = 0 {\displaystyle u_{t}+uu_{x}+u_{xxx}=0} については、 I 1 = ∫ − ∞ ∞ u d x I 2 = ∫ − ∞ ∞ 1 2 u 2 d x I 3 = ∫ − ∞ ∞ { 1 3 u 3 − u x 2 } d x I 4 = ∫ − ∞ ∞ { 1 4 u 4 − 3 u u x 2 + 9 5 u x x 2 } d x I 5 = ∫ − ∞ ∞ { 1 5 u 5 − 6 u 2 u x 2 + 36 5 u u x x 2 − 108 35 u x x x 2 } d x ⋮ {\displaystyle {\begin{aligned}I_{1}&=\int _{-\infty }^{\infty }u\,dx\\I_{2}&=\int _{-\infty }^{\infty }{\frac {1}{2}}u^{2}\,dx\\I_{3}&=\int _{-\infty }^{\infty }\left\{{\frac {1}{3}}u^{3}-u_{x}^{\,2}\right\}\,dx\\I_{4}&=\int _{-\infty }^{\infty }\left\{{\frac {1}{4}}u^{4}-3uu_{x}^{\,2}+{\frac {9}{5}}u_{xx}^{\,2}\right\}\,dx\\I_{5}&=\int _{-\infty }^{\infty }\left\{{\frac {1}{5}}u^{5}-6u^{2}u_{x}^{\,2}+{\frac {36}{5}}uu_{xx}^{\,2}-{\frac {108}{35}}u_{xxx}^{\,2}\right\}\,dx\\&\;\vdots \end{aligned}}} が保存量となる。
※この「保存量」の解説は、「KdV方程式」の解説の一部です。
「保存量」を含む「KdV方程式」の記事については、「KdV方程式」の概要を参照ください。
- 保存量のページへのリンク