ポアソン括弧と保存量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 15:26 UTC 版)
「ポアソン括弧」の記事における「ポアソン括弧と保存量」の解説
ポアソン括弧は運動の保存量を見つける為に役立つ。実際 H を時間不変なハミルトニアンとし、(q(t),p(t)) を H に関する正準方程式の解とし、f を(時刻に依存しない)可微分な任意の関数とすれば、 d d t f ( q ( t ) , p ( t ) ) = ∂ f ∂ q q ˙ + ∂ f ∂ p p ˙ = ( 1 ) ∂ f ∂ q ∂ H ∂ p − ∂ f ∂ p ∂ H ∂ q = { f , H } ( q ( t ) , p ( t ) ) {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}f(q(t),p(t))={\frac {\partial f}{\partial q}}{\dot {q}}+{\frac {\partial f}{\partial p}}{\dot {p}}{\underset {(1)}{=}}{\frac {\partial f}{\partial q}}{\frac {\partial H}{\partial p}}-{\frac {\partial f}{\partial p}}{\frac {\partial H}{\partial q}}=\{f,H\}(q(t),p(t))} であるので、 {f, H} が0なら f(q(t),p(t)) は時刻 t によらず不変である。(上で(1)は正準方程式から従う。) また f, g を {f, H}, {g, H}が恒等的に0になる関数とすれば、 { { f , g } , H } = ( 2 ) − { { H , f } , g } − { { g , H } , f } = ( 3 ) 0. {\displaystyle \{\{f,g\},H\}{\underset {(2)}{=}}-\{\{H,f\},g\}-\{\{g,H\},f\}{\underset {(3)}{=}}0.} よって {f,g}(q(t),p(t)) も時刻 t によらず不変である。(上で(2)ヤコビの恒等式、(3)は歪対称性と仮定から従う。) f, g が運動の保存量である事が分かれば、物体は f = const., g = const. を満たす相空間の部分集合上で運動する事が分かる。特に保存量が 2n−1 個見つかれば、物体が運動する場所が1次元空間に限定されるので、物体の軌道が完全に決定できる。多くの系において正準方程式を実際に解いて運動を決定するのは非常に困難である為、ポアソン括弧を使って保存量を見つけて運動の範囲を特定するのはハミルトン力学において重要な手法となる。
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