壬申検査関係写真とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 壬申検査関係写真の意味・解説 

壬申検査関係写真

主名称: 壬申検査関係写真
指定番号 119
枝番 0
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 565
時代区分 明治
年代
検索年代
解説文: 近代文化財調査先駆けとして著名な明治五年(一八七二)の社寺宝物検査いわゆる壬申検査写真資料である。ステレオ写真・四切写真焼き付けと、四切写真ガラス原板湿板【しつぱん】)からなる
 壬申検査は、明治五年五月から十月まで明治政府によって実施された。前年五月太政官布告古器旧物【こききゅうぶつ】保存方【かた】」を受け、翌年ウィーン開催予定されていた万国博覧会への出品選定兼ねて文部省町田久成【ひさなり】、蜷川式胤にながわのりたね】、内田正雄【まさお】らが中心となり、写真師横山松三郎【まつさぶろう】、油絵高橋由一【ゆいち】、絵師岸光景こうけい】・柏木政矩【まさのり】、博物学者笠倉之助【てつのすけ】を同行して行われた。本資料は、その際ステレオカメラ大型暗箱カメラ使って愛知三重京都奈良古社寺彫刻宝物類等を撮影したもので、中には天保四年(一八三三以来となる正倉院開封様子含まれる
 撮影技術コロジオン湿板法である。当時レンズ暗く湿板感度も低いため室内での撮影は困難であった思われ移動可能な宝物類は屋外持ち出して撮影されている。印画紙紙質薄く柔軟性に富む鶏卵紙けいらんし】が使用されているため、すべて台紙貼りの装丁である。鶏卵紙現状は、画像層の微細なひび割れと、卵白黄変による画像濃度低下みられる。またガラス原板現存する四切写真にほぼ対応するネガである。埃や擦り傷多く一部破損している。乳剤剥離進行しているものも確認されるが、対応する四切写真にはみられないため焼き付け後の劣化考えられる
 被写体寺社等の建造物過半占めるが、画面中に人物写っているものも多い。これは建物大きさとの比較だけでなく、その建物行われた行事風俗まで写しこもうとしたものである。この特徴春日大社での大和舞楽人舞人背負った八瀬【やせ】の女性たち等により顕著に現れ万国博覧会日本の風物を紹介しようとした意図うかがえる
 その後写真撮影を伴う本格的な文化財調査は、明治二十一年に始まる臨時全国宝物ほうもつ取調局の古社寺什宝【じゆうほう調査をまつ。この後美術工芸品建造物写真おさめた國華【こっか】』『真美大観【しんびたいかん】』が刊行され古美術調査記録出版盛んになるが、本資料は、これらの動き先行する国家的事業として、また現存最古一括し文化財写真として、写真史上、近代文化財保護制度史上に貴重である。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「壬申検査関係写真」の関連用語

壬申検査関係写真のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



壬申検査関係写真のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2024 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS