壱岐古墳群とは? わかりやすく解説

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壱岐古墳群

名称: 壱岐古墳群
ふりがな いきこふんぐん
種別 史跡
種別2:
都道府県 長崎県
市区町村 壱岐市勝本町芦辺町
管理団体
指定年月日 2009.02.12(平成21.02.12)
指定基準 史1
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 壱岐島所在する6世紀後半から7世紀にかけての古墳群である。6世紀後半前方後円墳で墳長63mの対馬塚古墳築造嚆矢とし、続いて双六古墳造られた。この古墳は墳長91mに達し長崎県最大前方後円墳で、金銅製単環頭大刀柄頭始めとする出土遺物重要文化財となっている。6世紀末になると円墳変わり笹塚古墳は、直径70m程度平坦面上築かれ直径40mの円墳で、副葬品として検出され金銅製の馬具類は重要文化財指定されている。その後直径53.5mの兵瀬古墳はこの時期としては九州最大円墳で、引き続き直径30mに復元される掛木古墳直径45mの鬼の窟古墳築造された。これらの古墳には、巨石用いた横穴式石室伴っている点も特徴で、全長16.5mの鬼の窟古墳横穴式石室は、この時期九州でも屈指の規模を誇る。
 これらの古墳築造には壱岐島以外の勢力関与していたことが示唆されまた、出土遺物には、7世紀前半大陸系の遺物多数ある。このように、壱岐古墳群は、6世紀後半から7世紀にかけての列島内における政治動向のみならず東アジア世界との交流あり方を知る上で重要である。
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壱岐古墳群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/23 13:04 UTC 版)

壱岐古墳群
壱岐古墳群の位置
750 m
鬼の窟古墳
掛木古墳
兵瀬古墳
笹塚古墳
双六古墳
対馬塚古墳
壱岐古墳群分布図
全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML

壱岐古墳群(いきこふんぐん)は、長崎県壱岐市にある古墳群。6基が国の史跡に指定されている。

概要

壱岐島中央部に分布する古墳群で、主要古墳として前方後円墳2基・円墳4基の計6基が国の史跡に指定されている。6基はそれぞれ次の通り。

  • 対馬塚古墳 - 前方後円墳(墳丘長63メートル)。
  • 双六古墳 - 前方後円墳(墳丘長91メートル:壱岐島ひいては長崎県最大)。
  • 笹塚古墳 - 円墳(直径66メートル)。
  • 兵瀬古墳 - 円墳(直径54メートル)。
  • 掛木古墳 - 円墳(南北22.5メートル、東西18メートル)。
  • 鬼の窟古墳 - 円墳(直径45メートル)。

古墳群の築造は6世紀後半の対馬塚古墳に始まり、続く双六古墳の後は円墳に変わって6世紀末頃まで続いたと見られる。ただし追葬は7世紀まで行われている。壱岐島には長崎県の半数に及ぶ古墳256基が残存し、そのうち前方後円墳は10基あるが[1]、壱岐古墳群で2基を占める。また壱岐古墳群の上記6基は壱岐の他地域とは異なる大規模な古墳であり、当時の首長墓の系譜をなすと見られている。副葬品としては中国産・新羅産の遺物が多く見られ、6世紀・7世紀の東アジア交流の様子も色濃く残している[2]

被葬者に関しては、特に後世の文献に見える壱岐直(いきのあたい、壱岐氏)と関連づける説があるほか、ヤマト王権が対新羅交渉に重用した人物とする説[3]磐井の乱527年)の鎮圧で功をなした人物とする説[4]がある。壱岐島では対馬塚古墳以前の横穴式石室墳は知られず、対馬塚古墳で横穴式石室が突如出現する形を示すことから、対馬塚古墳の祖型と見られる福岡平野の古墳を営んだ首長層が、6世紀後半頃に対新羅防衛のため壱岐島に移されたとする説も挙げられている[5]。この壱岐古墳群では壱岐島1島の経済力には似合わない巨石横穴式石室が採用されるが、一方で上述のように新羅系文物の出土も見られることから、ヤマト王権・新羅の双方から壱岐島が外交上の拠点として重要視され関与を受けた様子が指摘される[5]

1961年昭和36年)に古墳群のうち鬼の窟古墳が「鬼の窟古墳」として長崎県指定史跡に指定され、2009年平成21年)には上記6基が「壱岐古墳群」として国の史跡に指定された(鬼の窟古墳の県指定は解除)[2][6]。また、笹塚古墳・双六古墳の出土品はそれぞれ2007年(平成19年)・2008年(平成20年)に国の重要文化財に指定されている[7][8]。なお、これら古墳群の南西近くには弥生時代の高地性環濠集落遺跡のカラカミ遺跡があるほか、後世の律令制下には壱岐島分寺が営まれている。

文化財

重要文化財(国指定)

  • 長崎県笹塚古墳出土品(考古資料) - 明細は以下。2007年(平成19年)6月8日指定[7][9]
    • 金銅亀形飾金具 1点
    • 銀製品 1点
    • 金銅製品 39点
    • 青銅製品 4点
    • 鉄製品 52点
    • ガラス製品 46点
    • 土器 19点
  • 長崎県双六古墳出土品(考古資料) - 明細は以下。2008年(平成20年)7月10日指定[8][10]
    • 金製品 8点
    • 銀製品 54点
    • 金銅製品 58点
    • 青銅製品 14点
    • 鉄製品 102点
    • ガラス製品 93点
    • 石製品 10点
    • 琥珀玉 1点
    • 陶器・土器 72点

国の史跡

  • 壱岐古墳群
    対馬塚古墳・双六古墳・笹塚古墳・兵瀬古墳・掛木古墳・鬼の窟古墳の6基を包括して2009年(平成21年)2月12日指定[2][11]。古墳群のうち、鬼の窟古墳は1961年(昭和36年)11月24日に「鬼の窟古墳」として長崎県指定史跡に指定されていたが、国の史跡指定に伴い県指定は解除[6]

壱岐市指定文化財

  • 有形文化財
    • 掛木古墳の家形石棺(石造物)[12]

関連施設

脚注

  1. ^ 壱岐国(平凡社) 2001.
  2. ^ a b c 壱岐古墳群 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  3. ^ 双六古墳(平凡社) 2001.
  4. ^ 『旅する長崎学11 海の道1壱岐 邪馬台国への道 海上の王国 旅人の交差点』 長崎文献社、2009年、pp. 24-25。
  5. ^ a b 広瀬和雄 2010, pp. 177–185.
  6. ^ a b 鬼の窟古墳(長崎県ホームページ)。
  7. ^ a b 長崎県笹塚古墳出土品 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  8. ^ a b 長崎県双六古墳出土品 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  9. ^ 長崎県笹塚古墳出土品(長崎県ホームページ)。
  10. ^ 長崎県双六古墳出土品(長崎県ホームページ)。
  11. ^ 壱岐古墳群(長崎県ホームページ)。
  12. ^ 壱岐市の文化財 2017, p. 116.

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 鬼の窟古墳 -環境整備事業報告書-』芦辺町教育委員会〈長崎県芦辺町文化財調査報告書第4集〉、1990年http://sitereports.nabunken.go.jp/15685  - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
  • 県内古墳詳細分布調査報告書 -県内古墳の墳丘・石室の資料化に伴う報告書-』長崎県教育委員会〈長崎県文化財調査報告書第106集〉、1992年http://sitereports.nabunken.go.jp/14748  - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
  • 『兵瀬古墳 -市内遺跡発掘調査事業に伴う発掘調査-』壱岐市教育委員会〈壱岐市文化財調査報告書第4集〉、2005年。 
  • 『笹塚古墳 -市内遺跡発掘調査事業に伴う発掘調査-』壱岐市教育委員会〈壱岐市文化財調査報告書第5集〉、2005年。 
  • 『対馬塚古墳 -市内遺跡発掘調査事業に伴う発掘調査-』壱岐市教育委員会〈壱岐市文化財調査報告書第6集〉、2005年。 
  • 『双六古墳』壱岐市教育委員会〈壱岐市文化財調査報告書第7集〉、2006年。 
  • 『壱岐の島の古墳群 -現状調査-』壱岐市教育委員会〈壱岐市文化財調査報告書第20集〉、2012年。 

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