増税(税収の増加)に関する意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:10 UTC 版)
「日本の財政問題」の記事における「増税(税収の増加)に関する意見」の解説
賛成論 2020年代から2030年代に団塊の世代が後期高齢者入りするため、増大する財政需要に耐えられる財政構造にしなければならない。消費税率については欧州の付加価値税は(軽減税率を含め)平均的に20%程度だとした上で、「20%が妥当であり、20%を上限に他の税を上げるか、徹底的に歳出の抑制をしない限りは債務が発散していく。 人口減少社会の日本で、経済成長率が5%に回復して増税なしに返済できるという夢物語は存在せず、地道に増税で返済していくほかない。団塊の世代にその痛みを引き取らせるように、急がなければならない。退職をすれば皆、増税反対勢力に回ってしまう。退職者にとって、むしろデフレは好ましい。 反対論その他 日本では不況下にもかかわらず、増税と景気対策がワンセットで議論されている。これはマッチポンプであり、経済学の一般常識としてあり得ない。景気が悪い時に増税して、財政再建が成功した例は世界的に見てもない。仮に消費税収が上がっても、他の部分の税収が下がったら本末転倒である。景気が良い時の増税は、成功する可能性がある。財政再建を掲げ増税してデフレが悪化すればGDPも減少し本当にデフォルトしかねない。 2011年時点でプライマリーバランス赤字の解消は(財政支出の伸びを2%以下に抑えた上で)2%経済成長+2%のインフレ=名目4%成長を数年間、あるいは名目3%成長を5年以上維持すれば(累積値で20%近い経済成長で)達成可能である。政府は現在のプライマリーバランスと将来の医療・年金支出を混同したままに、デフレを考慮せずに増税へと進もうとしている。他の先進国並みに累進課税を適用すれば、経済成長による税収増は大きなものとなる。国から地方への再配分の中心である地方交付税交付金と、世代間の再配分の中心である年金の国庫負担の配分を見直せば、増税による財源確保を最小限に抑える方法もあり得る。 近い将来、税金が重くなることが分かっていながら、消費を増やすことなど考えられない。現在(2012年)のように景気低迷時に財政再建を急ぐと、景気に逆効果をもたらす。名目GDPが増加するにつれて、国税の名目成長率弾力性は低下するかもしれない。しかし、その点を考慮しても、増税は名目成長率を4%程度に上げてもなお財政再建の目途が立たない場合にとっておくべき、最後の手段である。経済が安定的に成長するようになった段階で、税構造を見直し増税を実施するべきである」と指摘している。 消費税 「日本の消費税議論」も参照 日本の消費税を上げるタイミングは、少なくとも『大不況真っ只中』ではない。そんな状況下で、景気の回復よりも財政赤字の解消を優先すれば、デフレ・スパイラルを加速させるだけである。日本の国債累積問題の解決策は、デフレ不況からの脱却であり、消費税の増税ではない。まず(成長によって)税収を上げ、それでも財政が再建できないところを見極めてから消費税増税で遅くない。1997年の橋本政権下での消費税率引き上げなど、自分で自分の首を絞めるようなことをしなければいい。逆噴射的となる性急な財政再建は絶対に禁物である。 消費税増税の議論は、この国の官僚主導の予算編成システムと不可分である。2013年の増税論議は、このような反国民的な予算編成を放置しておきながら、少子高齢化にはいくら増税しても予算が足りないと脅かしているところに問題がある。 所得税 日本では所得税率が高いために自発的に悠々自適の生活に入る人は少ない。所得税の引き上げは、労働供給を抑制しない。所得税率の引き上げは財政再建の有効な手段となる。
※この「増税(税収の増加)に関する意見」の解説は、「日本の財政問題」の解説の一部です。
「増税(税収の増加)に関する意見」を含む「日本の財政問題」の記事については、「日本の財政問題」の概要を参照ください。
- 増税に関する意見のページへのリンク