歳出の抑制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)
竹中平蔵は「抜本的な社会保障改革を行ない歳出を制御しない限り、消費税をいくら引き上げても財政は再建しない」と指摘している。竹中は「増税(消費税率の10%引き上げ)しても問題は解決しない。歳出をこのまま放っておくと、社会保障費が毎年1兆円ずつ増えていく。必要なのは歳出の抑制である」と指摘している。竹中は「現行(2014年)の社会保障制度を続けたら、消費税率を30%以上にしても財政が健全化しないことが、専門家の試算によって明らかになっている」と指摘している。 原田泰は、消費税増税より社会保障給付費の削減が必要であると主張している。原田は「20兆円の支出増に対して、消費税を5%上げても、1%で2.5兆円の税収とされているので12.5兆円の増収にしかならない。予算を使わないようにすることが一層大事である。高齢化による社会保障支出の増加はやむを得ないという反論があるが、2007年から2012年までに65歳以上の高齢者は12%しか増えていない。社会保障費は予算の3割であるから、全体の予算は0.3×12%で4%しか増えないはずである。児童手当の増額による歳出の増加は1.7兆円に過ぎない。なぜ20兆円も歳出が増えたのかをよく考えない限り、いくら増税しても財政再建など到底無理である」「なぜ20兆円も歳出が増加してしまったかと言えば、消費税増税に賛同してもらうために予算を配ったからである。膨らんだ歳出の穴を埋めるために消費税増税が必要になると納得してもらうためである。結局、歳出を20兆円膨らませて12.5兆円埋めるだけだ。財政赤字は増えてしまっている」「消費税をいくら上げても、税収が増加した分を使ってしまっては、いくら増税してもきりがない。財政再建のためには歳出を増やさないことが肝心だという認識に立たない限り、本当の意味で財政再建はできない」と指摘している。 野口悠紀雄は、日本の財政状況は極めて深刻であるので、消費増税だけで財政再建をすることは困難であると分析している。野口によれば、消費税率を10%に上げたとしても、10年ほどで国内での国債消化は行き詰まることになる。野口は、社会保障制度の抜本的な改革を実行することが必要であると述べている。 井堀利宏は「歳出を抑制できずこのままならば、消費税を25%に設定しないと維持できない」と述べている。 小野善康は「(消費)増税は必要であるが、同時に歳出削減して雇用を減らしたら逆効果となる」と述べている。
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