各国の産業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/06 09:46 UTC 版)
アメリカ合衆国では、アメリカ国防総省とアメリカ航空宇宙局 (NASA) が、航空宇宙の技術や製品の2大顧客である。その他には、非常に大きい航空機産業を含む。2006年の時点で、航空機産業で472,000人の労働者が働いていた。アメリカの航空宇宙産業は主にワシントン州やカリフォルニア州に立地し、このほかにはミズーリ州、ニューヨーク州やテキサス州も主要な地域である。航空機産業を牽引してるアメリカの企業は、ボーイング、 ユナイテッド・テクノロジーズ、ノースロップ・グラマンやロッキード・マーティンである。これらの企業は、熟練労働者の高齢化と引退により労働力不足に直面している。航空宇宙産業への人材供給を維持するため、Aerospace Joint Apprenticeship Council (AJAC) のような実習プログラムが実施されている。AJACでは、ワシントン州の航空宇宙産業の技術者とコミュニティー・カレッジが協力して新たな製造業従事者の育成を行っている。 ロシアのオブロンプロム(英語版)や統一航空機製造会社(ミコヤン、スホーイ、イリューシン、ツポレフ、ヤコヴレフ、ベリエフを含むイルクートを子会社とする)のような、大きな航空宇宙企業は、この産業において世界で大きな役割を担っている。かつてのソビエト連邦も航空宇宙産業の主要な地位にあった。 欧州連合では、航空宇宙産業の技術や製品の主要顧客である欧州宇宙機関があり、エアバス・グループ、BAEシステムズ、タレス・グループ、ダッソー・グループ(英語版)、SAABと、フィンメッカニカのような企業が世界的な航空宇宙産業や研究活動を担っている。 イギリスは、以前は自国の航空宇宙産業を維持しようと試み、自国の民間航空機や軍用航空機を作っていたが、後に、航空機を主に他国企業と共同開発・生産するようになったほか、アメリカ合衆国のような国からの輸入も多くなった。しかし、イギリスにはBAEシステムズという世界第二の防衛請負業者が存在し、とても活発な航空宇宙分野を持っており、ヨーロッパにも世界にも、航空機の完成品、航空機部品、航空機関係の半製品やサブシステムを製造し、その供給先はヨーロッパだけでなく世界の製造業者にわたっている。 フランスは、自国の空軍、海軍のために戦闘機を作り続けてきた。スウェーデンは、特に中立を守るため、自国の空軍のために戦闘機を作り続けてきた(SAAB参照)。他のヨーロッパの国も、トーネード、ユーロファイター タイフーンのような戦闘機を共同で開発・生産するか、アメリカから戦闘機を輸入した。 カナダは、かつては独自の設計の軍用航空機(CF-100戦闘機など)を製造していたが、数十年の間、これらのニーズはアメリカからの輸入によって満たされている。しかしながら、いまだカナダは戦闘機を除く軍用機を製造している。 インドでは、バンガロールが航空宇宙産業の中心地であり、ヒンドスタン航空機、国立航空宇宙研究所(英語版)、インド宇宙研究機関の本部がある。インド宇宙研究機関 (ISRO) はインド初の月探査機、チャンドラヤーン1号を2008年10月22日に打ち上げた。 パキスタンは、発展途上の航空宇宙産業を持つ。パキスタン国家技術・科学委員会 (NESCOM)、カーン研究所(英語版)、パキスタン航空複合体 (PAC) はこの分野の研究や開発に関与している主要な組織である。パキスタンは、誘導ロケット、誘導ミサイルや宇宙船を設計し、製造する能力を持つ。カムラ市にはいくつかの施設を含むPACの本社がある。この施設では、MFI-17、MFI-395、K-8、JF-17が製造されている。パキスタンは兵器や兵器でない無人航空機を設計し、製造する能力をも持つ。 中華人民共和国では、北京市、西安市、成都市、上海市、瀋陽市、南昌市が、航空宇宙産業の研究と製造の中心地である。中国は軍用機、ミサイル、宇宙船を設計、試験、生産する力を発展させた。中国は、1983年にY-10の実験をキャンセルしたが、その後も民間航空宇宙産業を発展させ、ARJ21が2016年に就航する予定である。
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