各国の相違点まとめ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:51 UTC 版)
「アイディア・表現二分論」の記事における「各国の相違点まとめ」の解説
後述する各国の判例を概観すると、アイディア・表現二分論は大きく以下のいずれかの文脈で争点となる。 著作「物」の法的保護範囲 -- 著作物の盗用が問われる際、真似たのはアイディア (着想) だけなのか、その表現性まで含むのかを切り分ける裁判。 著作「者」の認定範囲 -- 著作物を複数人で共作した際、(アイディア出しや素材提供を超えて) どこまで寄与すれば共同著作者として認められるかを問う裁判。 前者の著作「物」に関する争点であるが、アイディアと表現の線引きは実際には簡単ではない。ある著作物の著作権侵害が問題となったとき、「アイディアの表現」が複製されたのか、それとも「アイディア」のみが複製されたに過ぎないのか、といったことが議論になる。抽象的アイディアと具体的表現の間には、表現の抽象度の高低に応じてさまざまな段階があると考えられる。アイディアと表現を線引きできる一般的基準を確立することは困難である。実情としては、それぞれの事案ごとに、その創作物におけるアイディアと表現とは何かを個別に検討しなければならない。 また、各国の著作権法では著作物と認めて保護される種類を条文上に列記しているが、一部はたとえ表現性・創作性があっても、以下のとおり著作権保護を拒否する場合がある。 応用美術・実用品デザイン イアリングやおもちゃ、椅子やランプなどの応用美術・実用品デザインについては、以下のとおり各国で法的保護のアプローチが異なる。実用品も他の著作物と同様に保護対象に含める -- フランスなど 実用品も一部保護に含めるものの、ほかの著作物よりも保護要件の水準を高く設定する -- ドイツなど 実用品は意匠法など別の法律で保護する、あるいは著作権法と二重で保護する -- 米国、過去のイタリアなど 題号 (タイトル) 小説などの言語著作物は著作権法で保護されるのが一般的であるが、小説の中身だけでなくその題号も著作権法で保護されるのかは国によって差がある。創作性が認められれば、題号も著作権法で保護されるほか、商標権との二重保護も可能 -- フランス (L112条-4) 題号は著作権法の範疇外であり、不正競争防止法など、別の法的根拠を求める必要がある -- 米国 ファッション ファッションには手に届かない憧れの奢侈品の側面があり、そのブランド価値は希少性から生み出される。したがって知的財産権ないし不正競争防止 (模倣品対策) の観点で各国の法的保護体制は以下のとおり異なる。しかしながらファッション業界固有の問題として、ブランド品のように定番もあれば、流行に合わせて次々と商品サイクルを急回転させるファスト・ファッションもあり、著作権法ないし商標法などの知的財産法で保護するのは「割に合わない」ケースも出てくる。著作権法上でファッションの保護を明記 -- フランス (L112条-2に婦人服、下着、刺繍、帽子、靴、革製品など列記) 商標法ないし不正競争防止法で一部保護 -- 日本 伝統的に欧州・日本と比べてファッション全般の法的保護水準が低いものの、2010年代に入ってから保護強化の検討議論に動きがあり、流動的 -- 米国
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