古代中国におけるニワトリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:59 UTC 版)
「ニワトリ」の記事における「古代中国におけるニワトリ」の解説
古代中国では、ニワトリには頭に冠を戴く「文」、足に蹴爪を持つ「武」、敵と戦う「勇」、食を見て呼び合う「仁」そして夜を守り時を失わない「信」の五徳があるとされた。中国における闘鶏は古く「春秋左氏伝」に見え、唐代に最も盛んであった。ニワトリには霊力があるとされ、除夜に門戸に懸け、邪悪を祓うという風習があった。また、ニワトリは吉祥のシンボルとされることもあるが、漢字「鶏」の音が「吉」に通じるためである。またニワトリは時夜、燭夜、司晨(鳥)、金禽、窓禽、徳禽、兌禽、巽羽、翰音、羹本、赤幘、花冠、戴冠郎、長鳴都尉官、酉日将軍など、実に様々な別名で呼ばれた。 以下のように様々な故事成語や成句がある。 鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく) 鶏群一鶴。鶏群孤鶴。多くの凡人の中に優れた人が一人交じっていること。多くのニワトリの群れの中にいる1羽のツルという意。 鶏口牛後(けいこうぎゅうご) 「鶏口となるも牛後となるなかれ」の略。大きな団体で人の後ろ(牛後)となるよりも、小さな団体でその長(鶏口)となった方がよいということ。『史記』に由り、戦国時代に蘇秦が韓の王に「小国とはいえ一国の王であれ。大国の秦に屈して臣下に成り下がってはならぬ」と説いて、六国の合従に導いた故事に基づく。 鶏黍(けいしょ) 手厚く客をもてなすこと。『論語』に由り、ニワトリを殺して吸い物を作り、キビを炊いてもてなした故事から。 鶏窓(けいそう) 書斎または書斎の窓。晋の宋処宗が書斎の窓に飼っていたニワトリは人語を解し、彼の学識を助けたという故事に基づく。 鶏鳴狗盗(けいめいくとう) つまらない技芸、つまらないことしかできない人の喩え。一見つまらないことでも何かの役に立つこともあるという意で用いることもある。『史記』に由り、戦国時代のころ、斉の孟嘗君は秦の昭王に軟禁されたが、イヌ鳴き真似で盗みを働く食客とニワトリの鳴き真似をして夜明けだと思わせる食客のお蔭で脱出し帰ることができたという故事に基づく。 鶏肋(けいろく) 大した役には立たないが捨てるには惜しいもののことで、自分の労作を謙遜するときに用いる。『後漢書』の故事で、ニワトリの肋骨は食べるほどではないが、少し肉がついているため捨てるには惜しいことに由来する。また体がひ弱だという意もある。こちらは『晋書』に基づく。 鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん) 取るに足りないことを大袈裟な方法で処理する必要はない。『論語』に基づき、ニワトリを捌くのにウシを切り裂く大きな牛刀を用いる必要はないということから。 陶犬瓦鶏(とうけんがけい) 瓦鶏陶犬。見かけだけ立派で、実際は役に立たないものの喩え。焼き物のイヌと素焼きのニワトリの意で、『金楼子』に由る。
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