単語の発生前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 22:37 UTC 版)
1909年 - 米国にて、キューピーの登場。漫画系の「あほ毛」の定義に適うかも知れない特徴を具えた世界最古のキャラクターが世に出る。当初は跳ね髪とまで言える髪を具えていないが、デザインが洗練されてゆくなかで可愛く跳ねた髪を頭頂・前頭・側頭などに具えた造形が生まれてくる。右列に示した画像はその典型である。ただ、こういった特徴は徐々に整理され、跳ねているとまでは言えない控えめな程度に抑えられていった。そうやって定型化したキューピーの髪は尖らせてはいても跳ねてはいない。なお、キューピーは性別不特定のキャラクターである。 1930年8月9日 - 米国にて、ベティ・ブープの登場。美容系の「あほ毛」の定義に適い、解釈次第では漫画系の「あほ毛」の定義にも適う特徴を具えた、世界最古のキャラクターが世に出る。女性キャラとして最古といえる。 1938年6月30日 - 米国にて、スーパーマンの登場。漫画『スーパーマン』の連載開始。漫画系の「あほ毛」の定義に適う跳ね髪を具えた男性キャラクターとして世に出る。世界的に著名な男性キャラとして最古であろう。 1946年(昭和21年)1月1日 - 日本にて、漫画家・手塚治虫のデビュー。マァチャンの登場。マァチャンからピートを経てケン一へ到る系譜。手塚作品には、アホ毛を具えた男性キャラクターが当初から非常に多く、デビュー作『マァチャンの日記帳』の少年主人公マァチャンではやや控えめに、翌1947年(昭和22年)刊行の書き下ろし単行本『新宝島』の少年主人公ピートでははっきりと、前頭部に生える一束の跳ね髪が描かれている。ピートはマァチャンのリファイン・キャラクターであるが、手塚作品のスターシステムにおける少年スター「ケン一」の雛形に当たる。むろん、ケン一もアホ毛を具えている。このように、米国とは違って日本での「あほ毛」キャラの嚆矢は男性(少年)であった。 1953年(昭和28年)1月 - サファイアの登場。ベティ・ブープ張りに数多くの跳ね髪を具えた手塚キャラクター(少なくとも、名のある手塚キャラ)の登場は女性が先で、それは1953年1月に連載を開始した『リボンの騎士』の女性主人公サファイアである。跳ね髪の数を問わず手塚の女性キャラの中で最古かも知れない。もっとも、ベティ・ブープ張りのサファイアの跳ね髪は男装時に限って描かれるもので、素顔の時の彼女は内向きにカールする柔和な髪形をしていて、これをもって女性の例と見なすのが適当かどうかという問題はある(※男装時のサファイアを女性キャラから外した場合、跳ね髪を具えた名のある日本製女性キャラの初出を特定するのは難しくなる)。 1955年(昭和30年)4月 - 天草鉄太郎の登場。真の男性キャラクターとしては、1955年4月に連載を開始した『流星王子』の少年主人公・天草鉄太郎が、いがぐり頭に似て非なるトゲトゲとした跳ね髪を多数具えた特徴的な髪形をしており、現実にいると想定すればこの造形は美容系の「あほ毛」であってもおかしくない(※ただ、映画のエキストラという設定上、少年ながらも整髪料で固めた髪形かも知れず、その可能性を排除できない)。 なお、天草鉄太郎はあまり有名とは言えず、ベティ・ブープ張りに数多くの跳ね髪を具えた手塚の男性キャラで、早期の登場、なおかつ有名どころということでは、手塚作品の三大悪役スターの一人であるハム・エッグ以外に無いと思われる。この悪役スターはデビュー前年(1945年)の習作『オヤヂの宝島』で原型キャラクターとして早くも登場しているが、ここでは跳ね髪を具えておらず、数年後(※未特定)に跳ね髪だらけのキャラクターへとリファインされている。 手塚以前の日本の漫画に跳ね髪を具えた固定キャラクターを見出すことは難しく、一方で、手塚はデビューから数えて10年と3か月以内(天草鉄太郎の登場まで)に上述した同属4種のキャラクター(跳ね髪の男性、跳ね髪の女性、跳ね髪の多い女性、跳ね髪の多い男性)を全て登場させている。
※この「単語の発生前」の解説は、「アホ毛」の解説の一部です。
「単語の発生前」を含む「アホ毛」の記事については、「アホ毛」の概要を参照ください。
- 単語の発生前のページへのリンク