初代AE/AF/AS型(1983年~1987年)
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「ホンダ・CR-X」の記事における「初代AE/AF/AS型(1983年~1987年)」の解説
1983年7月1日に「バラードスポーツ CR-X」として、日本国外では「CIVIC CRX」として発売。キャッチフレーズは「デュエット・クルーザー」。 リアにハッチを持ち、テールエンドを断ち切った形状の「「ファストバック」」クーペボディーは「コーダトロンカ(coda tronca)」または「カムテール(kamm-tail)」「カムバック(kammback)」と呼ばれ、全長を伸ばすこと無く空気抵抗を低減できる特性を持っている。車体の軽さも特徴であり、ABS樹脂とポリカーボネートをベースとした複合材料「H.P.ALLOY(エイチ・ピー・アロイ)」をフロントフェンダーとドア外装板等に、ポリプロピレンをベースとした「H.P.BLEND(エイチ・ピー・ブレンド)」を前後バンパーに採用し、車両重量は760kg (「1.3」5速MT)/ 800Kg (「1.5i」5速MT)となっている。2,200mmという非常に短いホイールベースと相まって生み出されるハンドリングは大変にクイックだったため、ステアリングの舵角中立部の反応は意識的にやや鈍く設定されていた。 エンジンは、1.5LのEW型エンジン(PGM-FI仕様)と、1.3LのEV型エンジン(キャブレター仕様)の2種類。日本国外向けにはシビック同様1.5Lのキャブレター仕様も設定された。グレードは1.3Lの「1.3」と1.5Lの「1.5i」で、「1.5i」ではアウタースライドサンルーフ、ドライブコンピュータ+デジタルメーター、ルーフベンチレーションなどが選択できたほか、MT仕様のファイナルギアレシオが4.4とローギアード化されており、より加速性能が増している。 サスペンションにも独自の工夫が見られ、フロントにストラット+トーションバー(リアクションチューブで長さを短縮)、リアは右側にのみスウェイベアリングを組み込み、ラテラルロッドをホイールと同軸化した車軸式+コイルスプリングの形式が採用され、総合して「SPORTEC-SUS」と称していた。 北米仕様には、その軽量の車両重量を生かした超低燃費仕様「CIVIC CRX HF」(1.3Lエンジン)があり、シティモードで50MPG(24.8km/L)・ハイウェイモードで56MPG(27.8km/L)と燃費性能で当時の低燃費No.1を獲得している。 1984年11月1日には、新たに1.6LのZC型エンジンを搭載する「Si」が追加。スイングアーム式バルブ駆動は、バルブクリアランス調整を容易にする目的で当時いくつかの採用例があったが、ZC型の場合はハイリフト化が主な目的だった。この試みが後の「VTEC」に生かされた。シリンダーブロックは「1.5i」のフルサイアミーズ型ブロックをボアアップしたものを採用し、ボア・ストロークは75mm×90mmというロングストローク仕様となっている。 エンジンの高出力化に伴い、駆動系はFF特有のトルクステアを防ぐため、等長ドライブシャフトが新たに採用されたが、ブレーキ構成は軽量な車重とショートホイールベースのため「1.5i」と同様の前輪:ベンチレーテッド・ディスク、後輪:リーディングトレーリングを踏襲(フロントブレーキパッドはセミメタルに変更)。なお、「Si」は「1.5i」とは異なり、アルミホイールは標準だが、ステアリングのパワーアシストはなく、エアコンやオーディオもオプションだった。 なお、ウレタン製のリアスポイラーが標準装備となり、スタビライザーを強化、オイルクーラーの追加、ボンネットには2個の大径カムプーリーをクリアするためにS800、シティターボに続いて「パワーバルジ」が付けられ、よりスポーティな印象が高まったものの、車両重量は860kgまで増加した。 1985年9月にマイナーチェンジを実施し、ヘッドライトがセミ・リトラクタブル・ヘッドライトから、輸出仕様の「CIVIC CRX」と同じ、固定式タイプに変更された。「Si」では、内装、メータパネルが変更されるとともに、外装ではサイドシルのデザイン変更や前後のバンパーの大型化、ツートーンカラーの廃止がなされた。よって、このモデルではヘッドライトやパンパーの形状で前期型と後期型を区別できる。テレビCMではバックミュージックとしてフランス・ギャル(France Gall)の「涙のシャンソン日記 (Attends ou Va T'En (1966年))」を採用し、キャッチフレーズも「2人には、Xがいる。」に変更された。また、ステアリングのパワーアシスト付きモデルが選択できるようになった。アルミホイールはオプション。 ホンダ車のアフターパーツも生産している「無限」が、ブリスター形状の前後フェンダー、フロントマスク、リアスポイラーなどを「無限 CR-X PRO」の名称でリリースし、これらを装備した車両が鈴鹿サーキットのマーシャルカーとして用いられた。 E-AS型の型式名「AS」は、同社の1960年代のスポーツカー「Sシリーズ」の型式名のAS(Automobile Sports)と符合することから、一部のファンはホンダスポーツの再来と受け止めた向きもあった。 販売期間中の新車登録台数の累計は4万187台 前期型 Si リア 後期型 1.5i リア Si ラリー仕様
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