初めての結婚とは? わかりやすく解説

初めての結婚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 09:29 UTC 版)

カロン・ド・ボーマルシェ」の記事における「初めての結婚」の解説

こうして、時計職人としてもっぱらヴェルサイユ宮殿出入りし高貴な人々注文に応じて時計の製作に励んでいたピエールであったが、それを切っ掛けとして彼に一人女性との出会い訪れたヴェルサイユ宮殿で彼を見かけ、その評判若さ惹かれ人妻フランケ夫人彼の工房時計修理目的として訪れたのである。彼女の夫であるピエール=オーギュスタン・フランケは、パリ郊外土地所有しており、王室大膳吟味官(簡潔に言えば料理配膳係)という役職務め貴族であった初め単なる時計職人とその顧客という関係でしかなかったが、フランケ夫人希望もあって急速に夫妻ピエール(カロン)の関係は深まっていった。フランケはすでに齢50歳を超えて体力的にもかなり衰えていたため、夫人助言聞き入れて王室大膳吟味官」の役職カロン売り渡すことにした。1755年11月9日ルイ15世直筆允許状を手に入れピエール正式に宮廷勤務役人となった宮廷出入りする単なる時計職人から、佩刀許され役人として社会的な地位一つ高めたであったフランケ夫人との出会い出世役に立ったが、そのピエールフランケ夫妻三角関係世間広く噂されようになったフランケ病気苦しんでおり、その夫人ピエール若くて魅力的である。間違い起こらないほうが不思議な状況であって実際に夫人ピエールいつごろから恋仲となったのかはわからないが、遺されている往復書簡から察する1755年末にはすでに関係があったと思われる。この書簡からは、少なくともフランケ夫人不倫に悩み苦しんでいることがうかがわれるが、ピエール悩み謝罪の色などつゆも見せておらず、ただ恋にのぼせた者にありがちな身勝手な考え示されているのみである。1756年1月3日フランケ脳卒中この世去ったピエール役職得てからまだ2か月しか経っておらず、その代金支払い着手もしていないころであったピエールは運よく、夫人役職も、ただ同然手中に収めのである1756年11月22日正式にフランケ未亡人ピエール結婚した身分釣り合わないこの結婚父親許可与えてはいるが、結婚式出席していないため、こころから祝福してたかどう疑問である。だがともかく、ピエールはこうして父親のもとから完全に独立したのである。妻の所有地の土地(Bos Marchais)の名前を借用してカロン・ド・ボーマルシェ貴族気取った名前を使用し始めたのもこの頃であるが、これは単に彼の自称過ぎず正式に貴族に列せられた訳ではない実態単なる宮廷勤務役人であったわけだが、こうした貴族風の名前を使い始めたところから察するに、すでにこの頃には強烈な出世願望彼のこころで燃え上がっていたと考えられるさて、初めての結婚生活はどうだったか。結婚後2か月してからの彼の手紙からは、妻の変貌うんざりした様子窺える: …以前周囲が皆、我々2人の愛を禁じていたのです。でも、その時期の愛はなんと激しく生き生きしていたことか。そして私の境遇にしたところで、現在味わっている境遇よりはるかに好ましかったのに!(中略)陶酔幻想時代には、私が愛情込めたまなざし注ぎえすれば喜びに耐えなんばかりであった、あのジュリーは、今や並みの女でしかありません。彼女は家計やりくり難しさを思うと、かつて地上の誰よりも好きであった男と一緒でなくても、充分生きていけると思っているありさまです。… 上記のように新婚早々結婚生活幻滅したボーマルシェであったが、この結婚生活長く続かなかった。結婚から1年経たないうちに妻は腸チフス倒れそのまま亡くなったのである1757年9月29日のことであった。ところが、ボーマルシェ直撃した災難これだけではなかった。結婚契約書の登録を怠っていたために、妻の遺産妻の実家転がっていってしまうし、新婚生活での借金自身降りかかってきたのであるボーマルシェはこの一件で、数年窮乏苦しむこととなる。

※この「初めての結婚」の解説は、「カロン・ド・ボーマルシェ」の解説の一部です。
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