出版社などへの民事訴訟
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「富山・長野連続女性誘拐殺人事件」の記事における「出版社などへの民事訴訟」の解説
加害者Mは刑事裁判が始まって以降、六法全書や刑事訴訟法の解説書を積極的に読むようになった。また、六法全書・民事訴訟法コンメンタール(注釈書)などを使い、出版社などを相手に多くの損害賠償請求訴訟を起こしたが、その多くは和解という形で終結している。また、男性死刑囚との間で自身の獄中結婚をめぐるトラブルなどで、10件以上の民事訴訟を抱えたこともあったが、佐久間哲 (2005) は「Mには支援者もなく、マスコミに取り上げられることを嫌っているとかで、確定後のようすはなかなか知ることができない。」と述べている。 被告人Mは上告中の1996年(平成8年)に、扶桑社と中央公論社を相手取り、事件当時の週刊誌などの記事で、事件と無関係な過去の生活まで虚偽を記載されて名誉毀損・プライバシー侵害を受けて精神的苦痛を受けたとして、慰謝料500万円の支払いを求める訴訟を名古屋地方裁判所に提起。 『サンデー毎日』は1980年4月に発行された号で、「『M』狂乱のセックスと殺人全計画」などの見出しで事件を報道したが、Mは同記事について1996年に、「同記事には虚偽の事実があり、プライバシーを侵害された」として、同誌の発行元である毎日新聞社を相手取り、損害賠償300万円の支払いと謝罪文を求める訴訟を名古屋地裁に提起した。 週刊誌『女性自身』(光文社)は1980年5月24日号で、「魔性の女M 笑顔のない34年間の悲しいアルバム」という見出しの記事を掲載したが、Mはこの記事について、「生い立ちや事件以前の行動など、22か所の虚偽の記載があり、名誉毀損・プライバシー侵害を受けた」として、光文社を相手に300万円の損害賠償支払いと謝罪文の掲載を求める訴訟を名古屋地裁に提起。名古屋地裁(水谷正俊裁判長)は1998年1月28日に、原告 (M) による請求の一部を認容し、被告(光文社)に10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。また、同社発行の月刊誌『宝石』の記述についても、「虚偽の事実や事件と無関係なプライバシーを書かれた」として、同社および執筆者を相手取り、慰謝料300万円の支払いと謝罪を求める訴訟を提起し、名古屋地裁(高橋勝男裁判官)は被告(光文社および記事執筆者)に総額30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 『北國新聞』(北國新聞社)は1980年4月3日付の朝刊で、被疑者として逮捕されたMについて、「Mは知人数人を生命保険に加入させ、その受取人になっていた」などと報道。しかし、Mは後に同紙の報道について、「起訴された刑事事件と関係ない過去の生活について虚偽を記載された」と主張し、同社および飛田秀一社長を相手に慰謝料300万円の支払いを求めた訴訟を名古屋地裁に提起した。 また、『週刊文春』(文藝春秋)の事件当時の記事に対しても、事件から十数年後に名誉毀損訴訟を起こしたが、訴訟提起当時はその記事の執筆に携わった担当者たちが既に退職していたことや、取材に用いられた資料も文藝春秋側に残っていなかったことから、最終的に和解に持ち込まれている。 大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件(1994年発生)の加害者少年(事件当時18歳)は、『週刊文春』の記事内容をめぐって文藝春秋を提訴した際、当時文通していたMや、三浦和義(ロス疑惑の元被告人)からのアドバイスを受けて訴訟に踏み切っている。
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