体温調節の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 10:18 UTC 版)
ミツバチ(セイヨウミツバチの働き蜂の体重:0.08〜0.15g、ニホンミツバチはやや小さい)も体格が小さく、しかも体温を下げると死につながる。しかし、断熱性に優れた閉鎖空間である巣内にて集団で休息することで温度が逃げないようにしている。このことで小型動物における恒温性によるエネルギーの浪費を上手く回避している。活動時、特に飛行時はエネルギー消費=体熱産生が大きいため、ミツバチのような小型動物でも体温が保てる[独自研究?]。 このような適応はもちろんミツバチだけではなく、小型の恒温動物は閉鎖空間で丸まったり集団で休息するのが普通である。ミツバチは暖かい巣内(正確には蜂集団内)で休息し「エンジンを掛けてから」飛び立てるため、早春から晩秋(外気温10℃以上)まで広範囲の気温下で活動できる。また、死につながるため、高温期以外は巣外(正確には蜂集団外)では休息しない。このようにして巣外活動時を含めニホンミツバチでは40〜41℃、セイヨウミツバチでは30〜36℃の体温(正確には胸部温)を維持している。巣温が下がりすぎたときは胸をふるわせると共に蜂集団の個体密度を上げ、冬期でも、蜂集団内温度をほぼ一定温度(ニホンミツバチは33〜36℃。セイヨウミツバチは冬季かつ非育児期は20〜22℃、それ以外は30〜35℃)に保つ。上がりすぎたときは水を撒いて旋風行動を取ることで冷却する[独自研究?]。 より積極的に巣構造を用いて体温を保つ例としては、オオキノコシロアリ類があげられる。ミツバチとは異なり彼らの体そのものにはほとんど体温維持機能はないと思われるが、巣の構造と栽培菌類および自身の呼吸熱そして地下からくみあげた水の気化熱により巣内温度を高度に安定させる。homeotherm(自律的体温恒常性を持つ生物)という言葉には“巣を用いてはいけない”という規定はないため、字義通りに解釈すればオオキノコシロアリは恒温動物である[独自研究?]。 大型の不均翅亜目、例えばオニヤンマでは40℃程度、ヤンマ類ではそれより数度高い程度に飛翔中の体温(正確には胸部温)を保っている。高気温下では飛翔速度を下げ、低気温下では飛翔速度を上げる(熱産生を大きくする)こと、低気温時の飛翔前には羽を震わせるウォームアップと呼ばれる行動で体温を上昇させること、過熱時には腹部を持ち上げたオベリスクと呼ばれる姿勢をとって太陽光を受ける面積をできるだけ少なくすることなどによってこの体温を維持していることが知られている。低体温時の飛行前ウォームアップは内温性昆虫では一般的で、種によっては数℃の体温・気温時に30℃以上まで胸部温を上昇させることができる。なお、不均翅亜目いわゆるトンボ類や完全変態昆虫には恒温、とはいえないまでも外気温よりも10℃以上高い体温を保つことができる内温動物が多種類存在する[独自研究?]。 マグロやネズミザメでは生涯泳ぎ続けることにより熱産生を行う。それと共に、体表面と体内部との間に奇網とよばれる、血管が絡み合った対流式熱交換器がある。これによって体中央部からの血液が暖かいまま冷たい体周辺部へ直接流れないように、また体周辺部からの血液が冷たいまま暖かい体中央部へ流れ込まないようになっている[独自研究?]。アカマンボウでは、心臓とえらの間にも奇網があり、より体温の維持能力が高く深海でも活発な活動が可能とされる。 カモ類など寒冷地の水鳥でも足と胴体の間にこの奇網がある。また、マルハナバチやミツバチも発熱部である胸部と放熱部である腹部の間に対流式熱交換器を備え、そこの血流量を調節することで放熱量を制御すると共に胸部温を保つ[独自研究?]。 発汗による体温低下はヒトで行われるため一般的であるように感じるが、水や塩分の浪費につながるため、哺乳類のうちでもヒトやウマなどごく一部の種しか行わない。逆に言えば、人間や馬は発汗による効果的な放熱により高温下でも激しい運動ができる[独自研究?]。 このように体温維持の機構は様々である。
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