任務及び概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 04:10 UTC 版)
主体となる救難隊(Air Rescue Squadron)は、過酷な環境で日夜活動する航空自衛隊や他の自衛隊で発生した墜落事故などにおける機体・乗員の捜索救難・救助活動を使命とする。また航空レスキュー (Air Rescue) の黎明期より、その先駆けとして1958年(昭和33年)から、他の救助機関が救助困難、もしくは悪天候により出動困難な場合、災害派遣として急患空輸や山岳及び海上における遭難者の捜索救助活動にも出動している。救難隊では通称メディックと呼ばれる救難員が固定翼救難捜索機や救難救助ヘリに搭乗しており、練度の高い航空救難組織である。 陸上や近海の救難において、他組織または自衛隊他部隊による救助が不可能である場合、出動すると自称することから『救難最後の砦』ともしばし吹聴される。 詳細は「救難隊」を参照 また、4個のヘリコプター空輸隊 (Helicopter Airlift Squadron) は、大型ヘリコプター (CH-47J) を運用しており、災害派遣時には要救助者の救助、急患空輸、被災者の空輸および物資の空輸を行う。また大規模火災に対する災害派遣では消火薬剤や海、河川などの水を使用した空中消火も行なっており、東日本大震災では消火活動のために200回以上の空中消火を行なった。平常の任務では、その輸送力から航空自衛隊のレーダーサイトなどへの補給・空中輸送任務(要人輸送を含む)を行なっている。 航空救難団は航空自衛隊中央救難調整所 (RCC) で、日本国内の航空事故を一括して情報収集し、各地の救難隊が迅速に対応する体制が敷かれている。また、海上自衛隊とは共同で航空救難にあたっているが、海上自衛隊は航空自衛隊横田基地に航空救難情報中枢 (RIC) と呼ばれる機能をもち、海上自衛官の救難連絡員が配置され、海難救助や航空救難の情報を航空自衛隊中央救難調整所から得ている。 航空自衛隊の救難部隊は、担当する空域を特定の戦闘機や練習機が飛行している間、救助機1機と捜索機1機で救難待機をとっている。この間待機しているクルーは、自衛隊機が緊急状態を宣言した場合や航空機が緊急スコークを発信した場合、即座に航空機に乗り込み緊急発進を行えるように態勢を整えておかなければならない。自衛隊機の演習空域は人家を避けて海上や山岳地帯に設定されており、また、緊急事態は悪天候時に発生しやすいため、各救難隊はあらゆる状況での高い捜索救助能力が求められる。 救難機に搭乗して救助に当たる救難員は、航空自衛官の中から選抜されるが、その技能は救護・看護、空挺降下、ホイスト・ラペリング降下、潜水と、その内容も幅広く、体力・精神力についても自衛隊屈指のレベルが求められる。救難員養成課程は1年にわたり履修し、非常に過酷なものとなっている。 実働部隊は隷下10個の救難隊(千歳、秋田、松島、新潟、小松、百里、浜松、芦屋、新田原、那覇)と4個のヘリ空輸隊(三沢、入間、春日、那覇)で編成され、各救難隊は3機の救難機 (UH-60J) と2機の捜索機 (U-125A) を基本編成としている。それらを統括する飛行群本部は入間基地(埼玉県狭山市)に、航空救難団が所有する航空機の整備等を行う整備群本部と、救難機・捜索機のクルーや救難員を養成する救難教育隊がともに小牧基地(愛知県小牧市)にある。 これらの部隊は、近年では民間航空機の普及から民間航空機事故などでも活躍しており、国土交通省の東京空港事務所長などからの救難要請(災害派遣要請)が入れば直ちに活動を開始する。他の救助機関が対応不能な、民間人の遭難者の救難・救助活動や急患空輸は災害派遣として行っているが、この理由として、民間人に対する救助活動は、消防の救助隊が主に実施し、山岳救助は警察の山岳警備隊や消防の山岳救助隊 、海難事故は海上保安庁が担っているからである。なお緊急を要する場合は、これらの条件や縦割り行政、管轄地域を超えて活動する。
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