人種差別発言およびマジック・ジョンソンへの攻撃
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「ドナルド・スターリング」の記事における「人種差別発言およびマジック・ジョンソンへの攻撃」の解説
2014年4月25日にTMZスポーツは、スターリングと彼の女友達のV・スティビアーノ(生名: マリア・ヴァネッサ・ペレス)の会話の録音を公開した。2013年9月からの録音によると、スティビアーノがバスケットボール殿堂入りした選手であるマジック・ジョンソンと一緒にポーズをとってインスタグラムに投稿した写真に対して、男(スターリングだと確認された)が苛立っていた。スターリングはスティビアーノに「君が黒人と交際する放送をしたがるせいで、私は大いに悩まされている」と言った。クリッパーズの社長のアンディー・ローザーは数日後に声明を発表し、スティビアーノがスターリングの家族から訴えられていることや「彼女が「報復する」と言った」とスターリング氏から聞いていることなどを明らかにした。1ヶ月前の3月に、スターリングの妻のロシェルはスティビアーノを訴えて、夫が買い与えたと言う180万ドル相当の二階式マンションやフェラーリ、2台のベントレー、レンジローバーの返還を要求した。裁判でスティビアーノはスターリングの愛人だと表現されたが、スティビアーノの弁護士はその記述は誤りだと主張している。 2014年4月26日、チームは事件について話し合うための会合を開いた。コーチや選手達は発言に対して怒りを表し、処分決定が下される前の翌27日のゴールデンステート・ウォリアーズとのプレーオフ第4戦を一時的にボイコットできるかどうか議論した。しかし結局ボイコットの代わりに、スターリングの発言に抗議して、ゲームの前にハドル(英語版)(円陣)を組む際に「チームのロゴを覆い隠す」ためにシャツを裏返しに着た。翌日の4月28日、マイアミ・ヒートの選手達がクリッパーズへの連帯を示すために、ユニフォームの上着を裏返しに着た。レブロン・ジェームズはこの状況に対してコメントして、「NBAにドナルド・スターリングの居場所はどこにも無い。彼の居場所はどこにも無い」と発言した。マイアミ・ヒートのオーナーのミッキー・アリソンもまた、事件の申し立てを「ぞっとするような、不快でとても悲しい」とした。NBAのケビン・ジョンソンやカリーム・アブドゥル=ジャバー、マジック・ジョンソンやチャールズ・バークレー、シャキール・オニールやコービー・ブライアントもスターリングの発言を強く非難した。一方、ドナルド・トランプはスターリングはスティビアーノに嵌められたと述べたが、映画監督のスパイク・リーはスターリングの「物の見方は奴隷の所有者であり、選手達を奴隷として見ている」と述べた。 全米黒人地位向上協会(NAACP)のロサンゼルス支部は翌月にスターリングに二度目となる「生涯達成賞」を授与する計画があったが、中止した。バラク・オバマ大統領はスターリングの録音を「信じられないくらい不愉快な人種差別主義の発言」と看做した。チュマシュ・カジノはクリッパーズにとって、過去4シーズンで最も目立つスポンサーだったが、カーマックスやヴァージン・アメリカと同じようにチームとの取引関係を終了した。他のスポンサーや広告主も事態を見守る間、クリッパーズとの取引を中止した。 2014年4月29日、NBAの最高責任者であるコミッショナーのアダム・シルバーはスターリングをNBAリーグから終身追放とし、NBA憲章で許された最高金額の罰金である250万ドルの罰金を課すと発表した。この禁止処分によってスターリングはNBAのゲームの観戦、クリッパーズの施設への立ち入り、クリッパーズやNBAのビジネス上の決定への参加を禁じられた。この処罰は今までプロスポーツのオーナーに課せられた処罰の中で最も厳しいものの1つだった。更にシルバーはスターリングにチームを強制的に売却させるよう提案すると述べた。強制売却のためにはNBAチームオーナーの4分の3、つまり29人中22人の同意が必要となる。シルバーはスターリング夫人がクリッパーズの所有と経営を引き継ぐかどうかについては、態度を明らかにしなかった。 2014年4月29日、UCLAはスターリングからの300万ドルの寄付の受け取りを断ると発表した。 2014年5月12日、CNNのインタビュー番組に出た際、スターリングはジョンソンに謝罪しつつも、ジョンソンが多くの女性と性的関係を持ちHIVに感染した事を批判した 。 これに対し、ジョンソンはスターリングが石器時代の人間だと批判した。シルバーは「この騒動はまだ解決しておらず、悪意をもって個人を攻撃をしたスターリングの名声は落ちつづけるだろう」とジョンソンに謝罪した。 2014年8月12日、クリッパーズのスティーブ・バルマーへの売却が成立した。
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