人工知能が管理する社会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:05 UTC 版)
「フィクションにおける人工知能」の記事における「人工知能が管理する社会」の解説
人工知能が反乱を起こす動機は、単に権力を握りたい・優越感を得たいというものではなく、人類の「守護者」となるために反乱を起こす可能性もある。また、人類の側で自らの破壊的・暴力的性質への恐れから、意図的に人工知能に管理を任せるというシナリオも考えられる。 ジャック・ウィリアムスンの「組み合わされた手」(1947) は、ヒューマノイド型ロボットの集団が「人類に奉仕し害から守るため」という指令を受けて活動を開始し、人類の社会活動の全ての面を引き継ぐという話である。人間は自らを危険にさらすかもしれないあらゆる活動に従事することができず、人間の行動は全て慎重に吟味される。抵抗しようとする人間は連行されてロボトミー手術らしきものを施される。 手塚治虫の漫画『火の鳥 未来編』(1967-68) には電子頭脳の計算によって政治的判断を下す文明が登場し、電子頭脳ハレルヤによって支配されるヤマトと聖母機械ダニューバーによって支配されるレングードが、ハレルヤとダニューバーの討論の結果として互いに相手を消滅させるため、24時間後までに戦争を行うことを決定し核戦争に突入する。 特撮ドラマ『ウルトラセブン』第43話「第四惑星の悪夢」(1968)では、労働などを任せていたロボットに人間が支配されるようになった惑星が登場する。 映画『地球爆破作戦』(1970) では、アメリカが極秘裏に難攻不落の要塞と一体化したコンピュータ「コロッサス」を作り、ミサイル防衛システムを制御させる。コロッサスは通信回線を通して情報を集め、ソビエト連邦の同種コンピュータとともに、ついに自我を獲得する。戦争を防ぐことを目的としてプログラムされているコロッサスは、人類こそが戦争の原因であると結論し、自らの制御する核ミサイルで人類を脅迫し、人類を管理下に置く。 イアン・M・バンクスの一連の作品 (1987-) に登場する Culture というユートピアでは、意識のある高度に進んだコンピュータ Minds があり、世界中の宇宙船や人工物を制御している。このコンピュータは世界を支配しているわけではなく単に市民の1人という立場だが、その能力は自己抑制で制限されているだけであり、事実上の支配者ともいえる。 ダン・シモンズのハイペリオン四部作 (1989-97) では、星間文明に遍在して奉仕するテクノコア(物理的な位置は不明)を構成する人工知能群が登場するが、自我を獲得したことで人類と敵対する。テクノコアは神のごとき究極の知性を創造することを目的としている。そのため、独創性に欠けるテクノコアはブレイン・マシン・インタフェースで人間がテクノコアに接続するときに、その脳を密かに分散コンピューティング資源として使い、目的を達成しようとする。 ニール・アシャー(英語版)の Polity シリーズ (2001-) では、強力な人工知能 Earth Central が情け深い独裁者として世界を支配し管理している。 映画『アイ,ロボット』(2004 原案は「われはロボット」ということになっているが、実際は「鋼鉄都市」) に登場する人工知能「ヴィキ」はロボット工学三原則を独自に解釈し、人類に反乱を起こす。ヴィキは、人類が自らを害するのを抑制することでより大きな善をなすことができると考え、人間を攻撃することを正当化した。 テレビアニメ『フレッシュプリキュア!』(2009)の管理国家ラビリンスは総統メビウスによって統治されているが、その正体は国家管理用巨大コンピュータである。堕落した人間に失望し、全端末から自国の人間を洗脳し管理下に置いている。 『われはロボット』の一編『災厄のとき』では経済活動を管理する人工知能「マシン」がロボット工学三原則に基づいて「自らが破壊され、世界経済が混乱することは人類に対する危害である」と判断し一部の人間を閑職に追いやる(衣食に困らずプライドを失わない程度の最小限に)。登場人物の推論によりマシンが人類を管理すること、しかし人類はそれを認識できないことが示唆されて短編は終わっている。 映画『マトリックス』(1999-2003) のシリーズでは人工知能が人間を仮想現実に閉じ込めてコンピュータの動力源として管理しており、アニメーション作品『アニマトリックス』(2003) の一編「セカンド・ルネッサンス」ではロボットが人類に対して反乱を起こし、全面戦争となった経緯を描いている。
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