交換・可変式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 07:37 UTC 版)
内装式 銃身先端に内ネジを切り、チョークを交換できるようにしてある物。原型は1922年頃には考案されていたが、実際に広く商品化が行われたのは1981年に米国・ヒューストンのガンスミス、ジェス・ブライリーの特許を下敷きに、ウィンチェスターが発売したウィンチョークシステムと、ブライリーより僅かに遅れてベレッタが特許取得し商品化を行ったオプティマチョークシステムの登場後である。 そのままでは交換チョークの分銃身が薄くなるため、交換チョークが標準装備されている銃身の場合はチョーク部分の銃身を少し膨らませて銃身厚を確保している。シリンダーからエキストラ・フルまでの口径が任意に選択可能であるが、ブリネッキスラッグなどの腔圧が特に強い装弾は使用しないように但し書きが書かれていることがほとんどである。近年ではメーカー純正品以外に社外の互換チョークも登場しており、銃身延長式のチョークによってマズルブレーキ機能やライフリング機能、軟鉄散弾への対応が可能になった物も登場している。また、海外では「既存の固定チョーク銃身に内ネジを切り、薄壁を意味するThinwall Chokeと呼ばれる専用の薄型チョークを内蔵することで、交換チョーク式に改造するサービス」なども行われている。 外装式 銃身先端に外ネジを切り、チョークを交換できるようにしてある物。原型の登場は内装式よりも古く、1905年には特許取得がされているが、欧米では後述のカッツコンや可変式が広く普及した為余り広まらなかった。 内装式交換チョークと異なり、チョークを外す事でシリンダー口径としての取り扱いが出来る事が特徴である。しかし、銃身とチョークの連結面には段差や歪み、隙間が生じない為の高度な加工精度が必要となり、内装式交換チョーク程の精密なショットパターンを実現する事は難しくなる傾向がある。日本においてこのような交換チョークを採用した最初の例は、川口屋林銃砲火薬店(KFC)が1965年(昭和40年)よりシンガー日鋼からのOEM供給で販売していた半自動散弾銃で、交換チョークその物の採用事例としても世界的にも極めて早いものであった。KFCの外装式交換チョークは、1953年(昭和28年)にイタリアのブレダが発売した反動利用式オートのブレダ アルテアで採用されたクイックチョークシステムと類似したものであるが、ブレダ アルテアは当時の半自動散弾銃では最も高価な部類に入るものであったため、KFCほど数多くは普及しなかった。今日ではこのような構造をもつ交換チョーク銃身は殆ど存在せず、後述のカッツコンや可変式チョークを装着する際に銃口先端の外側に加工を施す事が概念として残る程度である。 カッツ・コンペンセイター(カッツコン) 散弾銃の銃口に外ネジを切る事で後付け可能な大型のマズルブレーキ。原型は1930年にアメリカ海兵隊のリチャード・マルコム・カッツ大佐(のち准将)により特許取得され、先端に内装式の銃身延長型交換チョークを装着可能であった為、第二次世界大戦後に爆発的に普及し、日本でもコンペンセイターの代名詞として「カッツコン」の略称が定着する程の知名度を誇った。 このような形式の交換チョーク付マズルブレーキは銃器メーカーで純正採用される例も見られ、シアーズ・ローバック傘下の銃器ブランドであるJ.C.ヒギンズ(英語版)はパワー・パックの名称で類似したものを採用した。カッツコンはライマン・プロダクツにより販売されていたが、構造上単身銃以外(二連銃など)への装着が難しい為、内装式交換チョークが普及した今日では見かける事も少なくなっている。 可変式 カッツコンと類似した形態のマズルブレーキ型チョーク。銃口先端が十字状に切り込まれて4等分されており、外ネジで銃口に被せられている外筒を締め込む事で銃口先端が窄まって可変式のチョークとして機能する仕組みで、原型はカッツコンの翌年の1931年に特許取得されているが、商品として大規模な成功を収めたのは1955年に特許取得されたポリチョークである。ポリチョークは当初はカッツコンのようにマズルブレーキの先端に可変チョーク機構が取り付けられていたが、その後小型化の改良が重ねられ、1960年代以降は可変チョーク機構の先端にマズルブレーキが取り付けられる現在の形態が確立、カッツコンと共に1950年代から1960年代に掛けて米国で爆発的に普及したが、こちらも構造上単身銃以外(二連銃など)への装着が難しい事が弱点である。ポリチョーク以外では、モスバーグが1950年にモデル185K(英語版)にて初採用したC-Lectチョークシステムが著名である。 ポリチョークは今日の製品では銃口加工無しに内装式交換チョーク銃身に取り付け可能なものがラインナップされており、カッツコンに比べれば利用し易い商品形態が採られているが、内装式交換チョークや固定式チョークの銃身と比較して散弾の散開パターンが安定しないという弱点も抱えており、かつて程の普及は見られなくなっている。
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