中下流部の河川整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 04:38 UTC 版)
「大津川 (千葉県)」の記事における「中下流部の河川整備」の解説
大津川では、中下流域周辺の台地部の都市化に伴って流出が増加し、浸水被害が頻発するようになった。そのため千葉県は1980年(昭和55年)4月5日告示改正で一級河川指定区間を白幡橋まで延長し、同年度から広域基幹改修事業として河川改修を進めている。関根橋より下流5,640mを全体計画区間とし、河口より用地取得・堤防整備・橋の架け替えなどを実施している。2000年(平成12年)度には千葉県・沼南町・柏市やボランティア団体等で構成された「大津川多自然型川づくり懇談会」が組織され、大津川遊歩道などの環境整備について検討されている。その後河川改修は2005年(平成17年)度に総合流域防災事業として見直しが行われ、現在も続いている。 大津川の西部では東武野田線沿いに宅地造成が進み、雨水流出増加に対応するため柏市が雨水幹線の整備を進めている。大津川左岸には第1排水区から第8排水区までの排水区が設定されており、1号が戸張、2号が東柏・八幡町、3号が永楽台・豊四季(南部)から日立台や名戸ヶ谷にかけて、4号が芝浦方面(増尾・中原台・酒井根)、5号が南ケ丘(増尾7・8丁目)、6号が逆井・藤心、7号以降が上大津川周辺(藤心・高柳)に係るものである。中でもメインの幹線は3号から6号にかけてのものだが、これらは本流の河川改修が進んでいなかったことから公共下水道としての整備が長らく行われなかった。河川改修が中流部まで進むと、2000年(平成12年)度に放流協議が開始され、事業認可を得てゆくこととなったが、千葉県による河川改修計画の見直しの影響もあり認可は進まなかった。そのため大津川左岸第3号雨水幹線では柏市の単独事業に切り替え、2004年(平成16年)度から2006年(平成18年)度までの3年間整備が行われた。大津川左岸第6号雨水幹線では2002年(平成14年)度から2004年(平成16年)度まで、東武野田線橋梁西側に逆井多目的調整池が整備された。貯留促進が主目的だが、親水空間としての機能を持たせている。大津川左岸第4号雨水幹線では2005年(平成17年)度の事業認可取得以降整備方針の検討が進められ、2009年(平成21年)度に着手。大津川接続部200mの整備後、2010年(平成22年)度から2013年(平成25年)度までの4年間で増尾第3調整池(増尾つばめ池)から増尾雨水貯留池(柏市立増尾西小学校)までの1,750mの工事が行われた。また従前より公共下水道として認可されていた大津川左岸第2号雨水幹線も、文京学園跡地の宅地開発の進展に伴い2005年(平成17年)度以降整備が進められた。 上大津川については、東武野田線橋梁より上流部の暫定整備以外未着手の状態であったが、2007年(平成19年)6月10日の集中豪雨によって流域の高柳東映団地が部分冠水したことを受け、早期の河川整備が望まれるようになった。また河川整備はさることながら、上流域の高柳新田貯留池についても問題視された。松戸市・柏市境付近に存在するこの貯留池は柏市旧沼南町に位置するが、当時の沼南町より土地を無償譲受した松戸市が整備・管理を行っている。そのため柏市内の上大津川の水位の様子を把握せずに水門の開閉を行っていたことも水害の一因と指摘された。なお高柳新田貯留池の他、高南台3丁目には高南台調整池が存在するが、こちらは柏市の管轄となっている。河川改修が本来なら望ましいものの、本流の河川整備の進捗が遅く早期着手が困難な状態にあることから、暫定対策として高柳駅西部にて進められている土地区画整理事業において、2か所の調整池を域内に整備することとされた。また柏市は国の補助金を利用し、河道を180mに渡って70cm掘り下げる工事を2010年(平成22年)度・2011年(平成23年)度に実施し、冠水対策に努めた。その後本流の河川整備が進み、上大津川合流点まで完成見込みとなった2014年(平成26年)度に上大津川整備の現地調査・基本設計が開始された。5か年計画で2018年(平成30年)度の事業完了を目指している。
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