三つの宝
『古事記』上巻 アマテラスが岩屋戸にこもった時、イシコリドメノ命(みこと)が八咫鏡(やあたのかがみ)を作り、タマノオヤノ命が多くの勾玉(まがたま)を貫き通した緒を作った。賢木の上枝に勾玉の緒、中枝に八咫鏡をかけて、フトダマノ命が捧げ持ち、アマテラスに八咫鏡を見せて岩屋戸の外へ連れ出した。その後スサノヲが、ヤマタノヲロチの尾から見つけ出した剣を、アマテラスに献上する。この鏡・勾玉・剣が、三種の神器と言われるようになった。
*海に沈む三種の神器→〔海〕7aの『平家物語』巻11「内侍所都入」。
★2.根の堅州国の三つの宝。
『古事記』上巻 オホナムヂ(=大国主)は、根の堅州国のスサノヲのもとから、生太刀(いくたち)・生弓矢(いくゆみや)・天詔琴(あまののりごと)を盗み出し、スサノヲの娘スセリビメを背負って逃げ去った。天詔琴が樹に触れて、大地に鳴り響いたので、それまで眠っていたスサノヲは目を覚ます。スサノヲはオホナムヂに、「生太刀・生弓矢を用いてお前の庶兄弟を追い払い、大国主神となれ。我が娘スセリビメを嫡妻とせよ」と、呼びかけた。
『犬神家の一族』(横溝正史) 犬神家の3種の家宝は、斧(よき)・琴・菊(=良きこと聞く)である。犬神家の全財産を相続する者が、この家宝を得る定めだった。犬神佐兵衛の孫である佐武(すけたけ)・佐智(すけとも)・佐清(すけきよ)の3人が殺された。佐武の首は切断され、「菊」人形の上に置かれた。佐智の首には「琴」の糸が巻きついていた。佐清の死体は逆立ちで、彼の名前を逆さに読んだ「よきけす」が、「斧(よき)」との関わりを意味していた→〔逆さまの世界〕4。
『豹(ジャガー)の眼』(テレビ映画版) 「フビライの矢」「オルコンの弓」「ダッタンの的」という3つの宝石をそろえれば、ジンギスカンの莫大な秘宝のありかがわかる(*→〔死体消失〕6)。「矢」はジンギスカンの子孫である黒田杜夫(モリー)が、「弓」は清朝王家の血筋をひく美少女錦華(きんか)が、「的」は怪人ジャガーが持っていた。モリーと錦華が力を合わせ、少林寺拳法の達人張爺(チャンヤ)や、謎の白覆面「笹りんどう」に助けられつつ、ジャガー一味と戦う。ジャガー一味は仲間割れで自滅する。ジンギスカンの秘宝は、奥日光の滝の奥深く、永遠に誰も手の届かぬ所にあった。
*高垣眸の原作『豹(ジャガー)の眼』では、モリーはインカ帝国の王女の子→〔入れ目〕1a。
★5.御伽話の三つの宝。
『三つの宝』(芥川龍之介) 王子が自分の持ち物と引き換えに、盗人たちから「一飛びに千里飛ぶ長靴」「着れば姿の隠れるマントル」「鉄でもまっ二つに切れる剣」をもらう。しかし、それらはすべて偽物だった。本物の3つの宝を持つ黒ん坊の王がアフリカからやって来て、美しい王女に求婚する。しかし、3つの宝で王女の愛を得ることはできなかった。王子も黒ん坊も王女も、3つの宝などに頼らず、御伽話の国を出て、もっと広い世界へ1歩を踏み出そうと決意する。
『百喩経』「毘舎闍鬼(びしゃじゃき)の喩」 2匹の鬼が、「衣類や飲食物や寝台など、必要なものは何でも取り出せる箱」「怨敵を降伏させることができる杖」「空中を飛行できる履物」を、自分のものにしようと争っていた。これを見たある人が、「平等に配分してやるから、少し離れていよ」と言う。鬼たちが退くと、その人は箱をかかえ、杖をつかみ、履物をはいて空中に舞い上がり、そのまま逃げ去った。
*→〔異郷訪問〕9の『ジャックと豆の木(豆のつる)』(イギリス昔話)に出てくる、「金貨の袋」「純金の卵を産む鶏」「黄金の竪琴」も、3つの宝であろう。
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