万代橋下流橋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:45 UTC 版)
万代島ルート線の秣川岸通以西は旧市街地を経由する区間で、万代橋下流橋の経路は既存の市道「広小路」(新潟市道広小路通線)の拡幅によって整備が進められる計画であったが、その区間の多くは街区となっており、建物の撤去や移転を要するため、整備は長期にわたった。 特に難航したのが経路上の住吉町地内に所在した「第四銀行住吉町支店」の処遇に関する問題だった。同支店は1927年(昭和2年)10月に竣工した鉄筋コンクリート造2階建(一部3階建)の新古典主義様式で、周辺地区のランドマークに数えられる建造物の1つであった。第四銀行は万代島ルート線の整備にあたり、同支店を移転して建物を撤去する意向を示したが、市民から「昭和初期の貴重な建造物を残してほしい」と保存を求める強い要望が寄せられたことを受け、国土交通省と新潟市、第四銀行は周辺住民と市民団体を交えて処遇に関する議論を進めた。移築して保存すべきとする意見、移築せずに現在地内で保存すべきとする意見、万代島ルート線の建設そのものに反対する意見などさまざまな意見が挙がったが、議論の結果、移築して保存する方針が固まった。まず住吉町支店を2002年(平成14年)3月18日、旧支店から約250 m下流側の上大川前通十二番町へ新築移転させ、空き家となった旧支店の建物は新潟市が取得、約9億4000万円を負担して解体工事が進められ、2004年(平成16年)に開館した新潟市歴史博物館(みなとぴあ)の敷地内で復元移築された。翌2005年(平成17年)には国の登録有形文化財に登録されている(第15-0186号)。 2008年(平成20年)春に、広小路の東堀前通十番町交差点 - 住吉町交差点間の拡幅と、住吉町交差点 - 秣川岸通交差点間の道路新設が完了して直通化されたことにより、柳都大橋は広小路を経由して東堀通や西堀通などからも直接通行できるようになった。また、この区間に整備された自転車歩行者道は、車道との間を植栽帯で分離するだけでなく、自転車道と歩行者道の間も柵や植栽帯で分離されており、交差点やバス停部など自転車と歩行者の動線が交差する箇所では自転車道に横断歩道が設置されている他、分離部には交差点ごとに注意喚起のための路面標示が設置されている。 残る西堀前通十番町交差点 - 東堀前通十番町交差点間の延長0.2 kmでは、古町通十番町交差点付近の2棟の地権者との交渉が難航していたため、国土交通省北陸地方整備局は2012年(平成24年)3月12日付で土地収用の手続きを開始した。なお、同事業で収用手続きが取られたのはこれが初めてである。同区間は2014年(平成26年)3月28日に開通し、これをもって「万代島下流橋」事業の全区間が開通となった。また西堀前通十番町以西は現在「新潟島道路」(仮称)の調査区間となっており、事業化区間は無い。 なお、新潟市が2008年(平成20年)3月に公表した市域内の交通網整備に関する短中期計画「にいがた交通戦略プラン」と、2012年(平成24年)2月13日に公表した中央区中心部の交通網整備の指針「新たな交通システム導入方針」においては、将来的には萬代橋を公共交通主体とした上で、自動車交通を万代島ルート線など近隣の道路へ誘導する旨が記されている。
※この「万代橋下流橋」の解説は、「柳都大橋」の解説の一部です。
「万代橋下流橋」を含む「柳都大橋」の記事については、「柳都大橋」の概要を参照ください。
- 万代橋下流橋のページへのリンク