一部区間の建設凍結と凍結解除の経緯
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「新名神高速道路」の記事における「一部区間の建設凍結と凍結解除の経緯」の解説
新名神高速道路は新東名・伊勢湾岸道と共に、東京・名古屋・大阪の三大都市圏を結ぶ日本の新しい大動脈として期待されている。しかし、道路関係四公団民営化推進委員会委員であった猪瀬直樹が京滋バイパスや第二京阪道路と重複し、交通需要が低く採算性が見込めない区間とされる滋賀県大津市 - 京都府城陽市間約25 kmと京都府八幡市 - 大阪府高槻市間約10 kmの整備をしない意向を示した旨の意見書を、当委員会の最終意見として2002年(平成14年)12月6日に当時の小泉純一郎総理大臣に提出した。 これにより、2003年(平成15年)12月22日に政府・与党申し合わせで当区間が抜本的見直し区間に設定。同年12月25日の第1回国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)では、新東名などと共に本線部分の暫定4車線での施工など、大幅な整備計画変更(コスト削減)が決定された。さらに2006年(平成18年)2月7日の第2回国幹会議にて「主要な周辺ネットワークの供用における交通状況等を見て、改めて事業の着工について判断する当面着工しない区間」とされ、第二京阪道路が全線開通した2010年(平成22年)3月20日以降に着工判断が持ち越され、法的に建設が予定されている国土開発幹線自動車道の整備を占う象徴的区間として政争の中心となっていた。沿線の滋賀県・京都府・大阪府の3知事などは凍結解除・早期着工を求めており、2009年(平成21年)4月27日の第4回国幹会議では、議論に至ったものの凍結解除は見送られた。 民主党政権下の2010年(平成22年)4月13日に当時の馬淵澄夫国土交通副大臣は毎日新聞の取材を受け、国幹会議で整備計画区間でありながら建設が凍結されている当路線を含む4路線5区間について「整備計画からの格下げもありうる」と発言し、建設中止を示唆する発言をしていた。第174回国会に提出中であった道路整備事業財政特別措置法改正案の適用で整備計画区間からの除外も可能であったことや、現職副大臣の発言であったため建設中止の可能性が高まっていた。 事業を担当するNEXCO西日本の西村英俊会長兼社長は「危機管理の点からも絶対に必要な道路。当然、着工しないといけない。」と明言していた。 2009年(平成21年)3月31日に国土交通省が費用便益比 (B/C) の再評価を以下のように発表している。 区間延長 (km)事業費(億円)計画交通量(台/日)費用便益比 (B/C)四日市JCT - 菰野IC 12.6 1,461 40,000 - 51,700 4.1 菰野IC - 亀山西JCT 15.2 1,798 41,600 3.9 大津JCT - 城陽IC 25.1 3,273 45,200 - 49,200 2.3 城陽IC - 高槻JCT 14.2 5,155 29,600 - 46,500 2.0 高槻JCT - 神戸JCT 40.5 7,206 34,900 - 42,200 1.1 上記の通り、費用便益比が1.1の高槻JCT - 神戸JCT間が先に事業化されており、1.1より高い大津JCT - 城陽IC間が当面着工しない区間に指定されていた。 その後、2012年(平成24年)4月6日に民主党の前田武志国土交通大臣が当面着工しない区間の建設凍結解除を表明し 、同月20日には事業許可が下りた。これにより未開通区間は全て事業化された。 未開通区間は、大津JCT - 城陽JCT/IC間が2024年(令和6年)度に、八幡京田辺JCT/IC - 高槻JCT/IC間は2027年(令和9年)度にそれぞれ開通予定である。
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