ホルトノキとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 植物 > ホルトノキ科 > ホルトノキの意味・解説 

ホルト‐の‐き【ホルトの木】

読み方:ほるとのき

ホルトノキ科常緑高木暖地自生狭長楕円形滑らか。6月ごろ、白い小花総状につく。実は冬に熟し、黒青色樹皮染料にする。もがし。

オリーブの別名。


ホルトノキ

ホルトノキ
科名 ホルトノキ科
別名: オレーフ
生薬名: -
漢字表記 -
原産 日本 台湾 中国 インドシナ半島
用途 関東以南自生する常緑高木巨木を見ることがあり、樹皮染料に、大島紬のねずみ色を出します。オリーブノキとは全く無関係です
学名: Elaeocarpus sylvestris Poir.
   

ホルトノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/29 09:32 UTC 版)

ホルトノキ
ホルトノキ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: カタバミ目 Oxalidales
: ホルトノキ科 Elaeocarpaceae
: ホルトノキ属 Elaeocarpus
: ホルトノキ(原種)E. zollingeri
変種 : ホルトノキ var. zollingeri
学名
Elaeocarpus zollingeri K.Koch var. zollingeri[1]
シノニム
和名
ホルトノキ

ホルトノキ(ホルトの木、胆八樹[6]学名: Elaeocarpus zollingeri var. zollingeri)は、ホルトノキ科ホルトノキ属の植物の一種。別名モガシ。和名は「ポルトガルの木」の意味で、果実が黒紫色でオリーブに似ている。暖地でふつうに見られるほか、街路樹や庭木などでも使われる。

名称

和名ホルトノキの由来は、元来はオリーブの木を意味する「ポルトガルの木」が転訛したもので、江戸時代の学者平賀源内が本種をオリーブと誤認して、ホルトノキとよばれるようになったものである[7]。「ホルト」とはポルトガルのことを意味し、平賀源内による命名とされている[8]。1760年当時高松藩に仕えていた源内が、高松藩主・松平頼恭に従って江戸に行く途中に紀州を通った時のことを記した『紀州産物志』(1762年)によると、紀州藩の湯浅の寺に「ホルトカルト申木」(「ホルトカル」と言う木)が生えており、これは「ホルトカルの油」(江戸時代に薬用に使われていたオリーブ油のこと、ホルト油ともいう)の採れる木であるとのこと。つまり、源内がこの木をオリーブと勘違いして自分の本で「ホルトカルト申木」と紹介してしまったのが由来である。なお、源内がオリーブと誤認した深専寺(和歌山県湯浅町)のホルトノキは和歌山県天然記念物に指定されていたが、2006年に枯れてしまった。源内がオリーブ油を採るために栗林公園(香川県高松市)に植えたホルトノキは現存する。

実際はポルトガル原産ではなく、日本の在来種である。各地域でさまざまな呼び方がされており、モガセ、モガシ(鹿児島)、タラシ(沖縄)、マガゼ(福岡県)、チンギ(奄美大島)などがある[8]

また、以下の様な別名が記録されている。

分布

日本では本州千葉県以西の太平洋沿岸、淡路島四国九州沖縄に分布し[7]、日本国外では台湾インドシナなどに分布する。本州以西の西南日本で照葉樹林高木層構成樹として重要で、各地の社寺有林の中で巨木が見られる。暖地でふつうに見られ[9]、日本では街路樹公園などでよく利用される。

特徴

常緑広葉樹の高木[9]

互生し、枝先に束のように生える[7]。葉身は長さ5 - 12センチメートル (cm) の倒披針形または長楕円形で[7]、やや鋸歯があり、ヤマモモに似ているが厚みがある。葉は古くなると紅葉して落ちる[9]。古い葉は落ちる前に赤く紅葉し、常に一部の葉が紅葉しているのが見られる[7]

花期は7 - 8月頃[7]。初夏にが咲き、横に伸びた花茎に穂状に付く、個々の花は釣り鐘状で白い。 果実は長さ1.2 - 2 cmの楕円形で、冬の11 - 2月に黒紫色に熟す[7]。見た目はモクセイ科オリーブの果実にも似ているが、小型で油も採れない[7]

栽培

植栽適期は3月下旬 - 5月上旬か、6月中旬 - 7月中旬、もしくは9月とされる[7]

利用

街路樹庭木に植えられている[9]

樹皮と枝葉の煎汁を織物の黒色の染料として用い、奄美大島大島紬の染料になる[9]第一次世界大戦中にドイツからの化学染料の輸入が止まったことで黒色の染色に窮した秩父の織物業者らが、大島紬がシャリンバイタンニンと泥に含まれる鉄分とを反応させて黒色に染めていたことを参考として同じくタンニンを多く含むホルトノキの使用を考案し、「大黒エキス」の名で売り出した[12][出典無効]

都道府県・市区町村等の木/花

市の木/花

かつて指定していた自治体(消滅)

脚注

注釈

  1. ^ 現代ではバラ科の落葉樹 Malus toringo を指す。
  2. ^ 現代ではトウダイグサ科の落葉小高木 Neoshirakia japonicaシノニム: Sapium japonicum)を指す。

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeocarpus zollingeri K.Koch var. zollingeri”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月20日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeocarpus ellipticus (Thunb.) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月20日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeocarpus sylvestris auct. non (Lour.) Poir.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月20日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeocarpus sylvestris (Lour.) Poir. var. ellipticus (Thunb.) H.Hara”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月20日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Elaeocarpus decipiens Hemsl.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月20日閲覧。
  6. ^ 三省堂百科辞書編輯部編 「ほるとのき」『新修百科辞典』 三省堂、1934年、1925頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j 山﨑誠子 2019, p. 78.
  8. ^ a b ホルトノキ 生原喜久雄、東芝『ゑれきてる』2014.10
  9. ^ a b c d e f 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 140.
  10. ^ a b 田中芳男 編纂、堀田正逸 補輯『林産名彙』大日本山林會、1913年、8頁。
  11. ^ a b 牧野富太郎牧野日本植物圖鑑』北隆館、1940年、340頁。
  12. ^ NHK「ファミリーヒストリー 設楽統」2015年9月18日放送
  13. ^ 市章・市の花・市の木 徳島市
  14. ^ 大分市の木 大分市
  15. ^ 市民の花・花木・木 浦添市

参考文献

関連項目


ホルトノキ

出典:『Wiktionary』 (2021/08/22 11:45 UTC 版)

名詞

ホルトノキホルト

  1. ホルトノキ科ホルトノキ属の常緑高木一種学名: Elaeocarpus decipiensシノニム: E. ellipticus[1]

発音

語源

ホルトポルトガル転訛[2]。ホルトノキの呼称は本来はオリーブを指すものであった[1]が、平賀源内紀州(現和歌山県湯浅深専寺で目にした本種をオリーブ誤同定して『紀州産物志』(1762年)や『物類品隲』(1763年)に掲載するなどし、こうした間違い源内以降本草学者明治以降植物学者にまで継承され牧野富太郎指摘を行うまで続いた[3]

類義語

翻訳

脚注

参考文献


「ホルトノキ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ホルトノキ」の関連用語

1
もがし デジタル大辞泉
100% |||||




5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

ホルトノキのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ホルトノキのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
エーザイエーザイ
Copyright(C) 1996-2025, Eisai Co., Ltd. All rights reserved.
エーザイ薬用植物一覧
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのホルトノキ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのホルトノキ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS