ブラヴァツキーとオカルト的アトランティス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 14:53 UTC 版)
「アトランティス」の記事における「ブラヴァツキーとオカルト的アトランティス」の解説
ドネリーと同時期に、オカルティストたちもアトランティスに興味を持ち始めた。1875年に神智学協会を設立したヘレナ・P・ブラヴァツキーは、77年に『ヴェールを剥がれたイシス』を執筆し、アトランティスに4回言及し、プラトンが述べたようにアトランティスは実在したと述べた。これは後年のようなオカルト的なアトランティスの記述ではない。 インドに本拠地を移したブラヴァツキーは、インドでのスキャンダルを避けて1885年にヨーロッパに戻り、1888年に、チベットの導師やマハトマ(偉大な賢者)と交信し、アトランティスでセンザール語という秘密言語で書かれた『ジャーンの書』に目を通しトランス状態で授かった教えを記したという『シークレット・ドクトリン』を出版。壮大なオカルト宇宙史・人類進化史を展開し、アトランティス等の失われた大陸を中心テーマに語った。これは、プラトンの流れをくむアトランティスとは非常に異なるものである。宇宙は7つの時代を経るとし、各時代には固有の根源人種(英語版)がいるとした。7つの周期は、太陽系の創造者である宇宙意識が、進化の促進のために設定したものだという。 第一根源人種 - 地球が太陽神に知恵を持つ霊的生命体を授けてくれるよう願い、太陽神が七大天使に命じて創らせた。不可視の非物質的領域である「不滅の聖地」に存在。 第二根源人種 - 肉体があるが無性の骨のない人種。北極地方にあったハイパーボリア大陸に存在。 第三根源人種 - 猿のような姿で両性具有・卵生・四本の手と頭部の後ろに目が一つある人種。レムリア大陸に存在。 第四根源人種 - 現代人より体が大きく知能の高い優れた人間。アトランティス大陸に存在。 第五根源人種 - アーリア人。アトランティス王国の生き残りであるマハトマに導かれ文明を築いた、現代の文明を主導する支配人種。いずれ天変地異が相次ぎ、アメリカ大陸が陥没して滅亡する。 第六根源人種 - パーターラ人。北アメリカ大陸で生まれつつあり、いずれ誕生する大陸で進化する。 第七根源人種 - 完全な霊性の時代に移行し、進化が終了する。 レムリア人は性を持つようになり、獣姦の罪を犯し神智の神の怒りを買い、レムリア大陸が太平洋に沈んだ後、約85万年前にアトランティスが浮上し第四根源人種の時代になり、現代人より優れたアトランティス人は、高度な科学と芸術を持つ文明を築いたとした。アトランティスには、まだ実証されていないような高度な科学技術があったとしており、こうした考えは後のアトランティス学に受け継がれていく。エジプトのピラミッドやドルイド教の神殿、中米の遺跡など世界各地の遺跡はアトランティス文明の名残であるが、プラトンが述べたように約1万1000年前に地震で海中に沈んだという。ニュー・アトランティス等の新大陸が、いずれ南大西洋に現れるとしている。 1891年以降、アニー・ベサントやW・スコット・エリオット(英語版)ら神智学徒が、神秘能力による霊視、センザール語の聖典の内容、マハトマからの言葉として、ブラヴァツキーの説に様々な情報を追加しており、オカルティストたちはオカルト的アトランティスを各々展開していった。神智学から派生したルドルフ・シュタイナーの人智学でもオカルト的アトランティスが信じられ、シュタイナーは宇宙の記憶であるアカシャ記録(アカシックレコード)を見たとしてブラヴァツキーと同様の宇宙の歴史を語った。シュタイナーの弟子のデンマークの占星術師マックス・ハイデルがアメリカのオハイオ州に薔薇十字団協会を設立し、薔薇十字思想でも失われた大陸が主張なテーマとして語られるようになった。 なお、オカルティストなどアトランティスをめぐるカルト的世界の愛好家たちは、アトランティスに関する学術研究に全く貢献していない。
※この「ブラヴァツキーとオカルト的アトランティス」の解説は、「アトランティス」の解説の一部です。
「ブラヴァツキーとオカルト的アトランティス」を含む「アトランティス」の記事については、「アトランティス」の概要を参照ください。
- ブラヴァツキーとオカルト的アトランティスのページへのリンク